社会保険労務士試験・論点ファイル

科目:労働一般
項目:最低賃金法

1.最低賃金額は、時間によってのみ定められている。

●過去問(平成29年度出題)
最低賃金法第3条は、最低賃金額は、時間又は日によって定めるものとしている。(×)

2.労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分について無効となる。(契約全体が無効となるわけではない。)無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなす。また、最低賃金額(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)を下回る賃金を支払った場合には、50万円以下の罰金に処せられる。

●過去問(平成26年度出題)
最低賃金法に定める最低賃金には、都道府県ごとに定められる地域別最低賃金と、特定の産業について定められる特定最低賃金があり、これらに反する労働契約の部分は無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされるが、同法違反には罰則は定められていない。(×)

3.派遣労働者への地域別最低賃金の適用は、「派遣先」の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金が適用される。(特定最低賃金についても同様である。)

●過去問(平成21年度出題改)
労働者派遣法第44条第1項に規定する派遣中の労働者については、最低賃金法第13条の規定により、当該派遣元の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金が適用される。(×)

4.地域別最低賃金は、①地域における労働者の生計費、②地域における労働者の賃金、③地域における通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならないこととされている。(地域別最低賃金・決定の3要素)

●過去問(平成21年度出題)
最低賃金法第9条第2項において、「地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに企業収益を考慮して定められなければならない。」とされ、同条第3項において、「労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。」と定められている。(×)

5.労働者は、最低賃金違反の事実があるときは、その事実を「都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官」に申告して是正措置を求めることができる。(この申告を理由として、解雇その他不利益な取扱いをした使用者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。)

●過去問(平成21年度出題)
最低賃金法第34条において、監督機関に対する申告が規定されており、同条第1項において「労働者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は公共職業安定所長に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。」と定められ、同条第2項において「使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」と定められ、同法第39条において、同法34条第2項の規定に違反した者に対する罰則が定められている。(×)