社会保険労務士試験・論点ファイル

科目:労働基準法

項目:解雇

 

1.解雇予告期間中に解雇制限期間が発生した場合、解雇予告期間の満了によって解雇の効力は生じない。(この場合、解雇の効力が停止され、解雇制限期間の終了とともに解雇の効力が発生する。)

 

●過去問(平成24年度出題)

使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告の日から5日目に業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。(×)

 

2.労働者が労働基準法の規定によって産前産後休業をする期間及びその後30日間は解雇制限期間とされているが、育児・介護休業法の規定によって育児休業又は介護休業をする期間及びその後30日間は解雇制限期間ではない。

 

●過去問(平成13年度出題)

使用者は、労働者が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定によって育児休業又は介護休業をする期間及びその後30日間は、当該労働者を解雇してはならない。(×)

 

3.解雇予告期間に係る「30日」については、解雇予告日と解雇効力発生日との間に「暦日で30日」の期間を要する。

 

●過去問(平成26年度出題)

平成26年9月30日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年9月1日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。(×)

 

4.解雇予告の意思表示の取消しに対して、労働者の同意がない場合は、自己都合退職の問題は生じない。

 

●過去問(平成24年度出題)

使用者が、ある労働者を整理解雇しようと考え、労働基準法第20条の規定に従って、6月1日に、30日前の予告を行った。その後、大口の継続的な仕事が取れ人員削減の必要がなくなったため、同月20日に、当該労働者に対して、「解雇を取り消すので、わが社に引き続きいてほしい。」と申し出たが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。この場合、使用者が解雇を取り消しているので、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は、解雇されたのではなく、任意退職をしたこととなる。(×)

 

5.解雇の意思表示は、書面の交付が望ましいとされているが、口頭で行いことを禁じてまではいない。

 

●過去問(平成15年度出題)

使用者が労働者を解雇しようとする場合において、解雇の意思表示は、当該労働者に対し、当該解雇の理由を記載した書面を交付することにより行わなければならない。(×)