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〔復習問題18〕

年金制度では、 A に1度、将来の人口や経済の前提を設定した上で、長期的な年金財政の見通しやスライド調整期間の見通しを作成し、年金財政の健全性を検証する「財政検証」を行っている。2004(平成16)年改正以前は、給付に必要な保険料を再計算していたが(「財政再計算」と呼ぶ)、2004年改正により、保険料の上限を固定し、給付水準の自動調整を図る仕組みの下で年金財政の健全性を検証する現在の財政検証へ転換した。

2019(令和元)年財政検証では、幅の広い B ケースの経済前提を設定し、どのような経済状況の下ではどのような年金財政の姿になるのかということを幅広く示すことで、年金制度にとって何が重要なファクターなのか、また、持続可能性や年金水準の確保のためにどのような対応があり得るのかなど、様々な議論のベースを提供できる検証作業となるよう留意した。こうした財政検証の結果、経済成長と労働参加が進むケースでは、今の年金制度の下で、将来的に所得代替率 C %の給付水準が確保できることが確認された。

 

A ① 少なくとも3年 ② おおむね3年 ③ 少なくとも5年 ④ おおむね5年

B ① 4 ② 5 ③ 6 ④ 10

C ① 50 ② 60 ③ 70 ④ 80

 

19.年金積立金の運用は、「積立金が、被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行う」ことが法律で定められている。

2019(令和元)年財政検証で設定された複数の経済前提をもとに、各ケースに対応できる長期の実質的な運用利回り(名目運用利回り-名目賃金上昇率)1.7%を運用目標とし、厚生労働大臣が定めた年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の中期目標において、「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保すること」を定めている。これを受けて、GPIFにおいて、リターン・リスク等の特性が異なる複数の資産への分散投資を基本として、長期的な観点からの資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、これに基づき年金積立金の管理・運用を行っている。(令和3年版厚生労働白書)

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