択一式定番問題・第6回

第6回は、「厚生年金保険法(30問)」です。今まで同様、すべて「誤り」の問題(過去問ベースの問題)です。

その前に、「ラッキーパンチ」について一言。おそらく選択式では3点くらい、択一式では5点くらいラッキーパンチが入る(あれこれ迷った挙句、場合によってはまったく分からなくても、正解してしまう)可能性があります。いわゆる「当たった」というヤツです。これを最大限に生かすポイントは、「ケアレスミス」を無くすことです。私の場合、択一式はラッキーパンチが合計5発ヒットしたのですが、ケアレスミスも同じ数だけあったので、結果としてプラスマイナスゼロでした。(あ~もったいない。)しかし、「当たりどころが良かった」ことに救われました。一般常識で「取れた」と確信が持てた問題が10問中3問しかなかったのですが(この状態だと不合格、見直しをしていてそれに気づいたときは青ざめました。)、フタを開けてみたら何とこの一般常識に3発ラッキーパンチが入っていました。(つくづく運が良かったと今でも思います。)社労士試験は、マークシート方式であるが故、このようなボーナスポイントがあることも、本番での「心の拠り所」にしてください。

では、問題スタートです。

問1 初めて適用事業所となった船舶の船舶所有者は、当該事実があった日から5日以内に日本年金機構に対して所定の届出をしなければならない。

答1 「5日以内に」ではなく、「10日以内に」である。(「船は遠かところにいるので、10日」です。)

問2 適用事業所以外の事業所が適用事業所になるとき、及び適用事業所でなくするときは、当該事業所に使用される従業員(適用除外に該当する者を除く。)の4分の3以上の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

答2 適用事業所以外の事業所が適用事業所になるときは、当該事業所に使用される従業員(適用除外に該当する者を除く。)の2分の1以上の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(健康保険法でも出題される定番中の定番問題。「イチニ(1/2)で入ってサンシ(3/4)で抜ける」ですね。)

問3 70歳以上の障害厚生年金の受給権者は、老齢厚生年金、老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金の受給権を有しない者であっても、高齢任意加入被保険者となることができない。

答3 70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないものは、高齢任意加入被保険者となることができる。(障害厚生年金は、生涯貰えるとは限らないからです。)

問4 船舶所有者によって季節的業務に使用される船員たる70歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とされないが、その者が継続して4か月を超えて使用される見込みであるときは、使用開始当初から被保険者になる。

答4 船舶所有者に使用される船員については、季節的業務に使用される場合であっても、使用される期間にかかわらず当初から被保険者となる。(「りんき(臨・季)おうへんセンパック、すぐなれます」(何の意味もありません。)船舶所有者に使用される船員は、「臨時に使用される者」及び「季節的業務に使用される者」であっても当初から被保険者となります。)

問5 昭和21年4月1日以前生まれの者で、かつ老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者が、受給権を取得した当時、坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が10年以上ある場合には、55歳から65歳までの間、60歳台前半の老齢厚生年金(定額部分と報酬比例部分)が支給される。

答5 「10年以上」ではなく、「15年以上」である。(「1(線)いん5(こー)ないいん」ですね。)

問6 60歳台前半の老齢厚生年金の支給を受けている者が、基本手当の支給を受けることとなった場合には、その者の求職の申込みのあった日の属する月から当該老齢厚生年金は支給停止される。

答6 その者の求職の申込みのあった日の属する月「の翌月」から当該老齢厚生年金は支給停止される。(通則どおりの「ネクストマンス」ですが、ここは良く引っ掛けているので気をつけてください。)

問7 老齢厚生年金の受給権を取得した月に被保険者であった場合、その受給権を取得した時点の年金額の計算の基礎には、受給権を取得した月を被保険者期間として含めることとなる。

答7 老齢厚生年金の受給権取得時の額は、受給権者がその権利を取得した「月以後」における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。(つまり、受給権取得月前月までをその計算の基礎とします。)

問8 老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満の場合は、老齢厚生年金の受給権者に加給年金額が加算されることはない。

答8 中高齢期間短縮特例者(生年月日により15年~19年の被保険者期間を有する者)については、月数が240未満であっても、加給年金額が加算される。(240には、もれなく「酎ハイ(中高)」がついてきます。)

問9 老齢厚生年金に加算される子に係る加給年金額は、20歳に達する日前までに障害等級1級又は2級になった子がある場合には、当該子が20歳に達するまで支給される。

答9 老齢厚生年金に加算される子に係る加給年金額は、18歳に達した日以後最初の3月31日までに障害等級1級又は2級になった子がある場合には、当該子が減額事由に該当しない限り、20歳に達するまで支給される。

問10 第1号厚生年金被保険者期間に係る老齢厚生年金の受給権者は、加給年金額の対象者である配偶者が65歳に達したとき、子(障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)が、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき又は子が20歳に達したときは、10日以内に必要事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。

答10 配偶者が65歳に達したとき、子(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)について18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき、子が20歳に達したときについては、加給年金額対象者不該当届を提出する必要はない。(「歳はごまかせない」からですね。)

問11 60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している被保険者が、その被保険者の資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(事業所若しくは船舶に使用されなくなったとき、任意適用事業所の適用取消し若しくは任意単独被保険者の資格喪失につき厚生労働大臣の認可があったとき、又は適用除外に該当するに至ったときは、その日)の属する月から年金の額を改定する。

答11 資格を喪失した日(事業所若しくは船舶に使用されなくなったとき、任意適用事業所の適用取消し若しくは任意単独被保険者の資格喪失につき厚生労働大臣の認可があったとき、又は適用除外に該当するに至ったときは、その日)から起算して1月を経過した日の属する月から年金の額を改定する。(いわゆる「退職時改定」の規定ですが、「一突き(1月)蹴っ飛ばせ(経過)、一突き(1月)蹴っ飛ばせ(経過)、退職に追い込む」です。)

問12 老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行わなければならない。

答12 老齢厚生年金の支給の繰下げの申出と老齢基礎年金の支給の繰下げの申出は、同時に行わなくてもよい。なお、老齢厚生年金の支給の繰上げの請求と老齢基礎年金の支給の繰上げの請求は、同時に行わなければならない。(「ズボンとパンツは一緒に上げる、腰パンするときズボンだけ」です。なお、「2以上の期間者」に係る老齢厚生年金の支給の繰下げは、それぞれの期間に応じた老齢厚生年金について、同時に繰下げの申出を行わなければなりません。)

問13 在職老齢年金の支給停止額については、その者の標準報酬月額が改定された場合には、改定された月の翌月から新たな標準報酬月額に基づいて計算された額に変更される。

答13 標準報酬月額が変更になった場合は、「その月から」新たな標準報酬月額に基づいて計算された額に変更される。(「在老ソッコー改定」ですね。)

問14 昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、受給権者の生年月日に応じて33,200円に改定率を乗じて得た額から165,800円に改定率を乗じて得た額の範囲内であって、受給権者の生年月日が早いほど特別加算の額は大きくなる。

答14 受給権者の生年月日が「遅い」ほど特別加算の額は大きくなる。(「食(昭和9年)い込(昭和15年)んで一発(昭和18年)特別母さん、若い人ほど魅力的」ですね。「配偶者(母さん)の生年月日」ではなく、「老齢厚生年金の受給権者(父さん)の生年月日」に応じる点にも注意してください。)

問15 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月の前月までの被保険者であった期間を、その計算の基礎とする。

答15 障害認定日の属する「月」までの被保険者期間を、その計算の基礎とする。(老齢厚生年金(問7)との比較論点です。)

問16 障害等級3級の障害厚生年金の年金額には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する最低保障額がある。

答16 「3分の2」ではなく、「4分の3」である。「スリークオーターシリーズ」の一つ。他に、寡婦年金の額=死亡した夫の第1号被保険者としての被保険者期間に係る老齢基礎年金の額×3/4、中高齢寡婦加算の額=遺族基礎年金の額×3/4、遺族厚生年金の額=原則として、死亡した夫の老齢厚生年金の額×3/4があります。)

問17 障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から障害等級の1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)に、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

答17 併合認定の対象となるのは、先発の障害厚生年金が短期間でも障害等級1級又は2級の状態にあった場合に限られており、先発の障害厚生年金が「その権利を取得した当時から障害等級3級に該当する程度の障害」である場合は併合認定の対象とならない。また、後発の障害厚生年金についても、障害等級1級又は2級の状態にある場合に限られる。(「併合認定崩れ」の問題です。とにかく、障害厚生年金には「3級」があることを忘れないでください。)

問18 障害厚生年金の受給権者が、重大な過失により、その障害の程度を増進させたときは、当該障害厚生年金の額の一部につき、その支給を停止し、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、当該障害厚生年金の額の改定を行うことができる。

答18 障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、職権による増額改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、減額改定を行うことができる。(「しょう子(障厚)ちゃん、恋(故意)を失い(過失)、ひざガクガク(額改定が2回出て来る)です。)

問19 障害手当金の額は、原則として、障害厚生年金の額の例により計算した額の100分の250に相当する額であるが、3級の障害厚生年金の最低保障額の2倍に相当する最低保障額がある。

答19 「100分の250」ではなく、「100分の200」である。(100分の200、障害厚生年金の最低保障額の2倍、「2倍繋がり」で覚えておきましょう。)

問20 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により、当該被保険者の資格を喪失した日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき、保険料納付要件を満たしている場合には、その者の遺族に遺族厚生年金が支給される。

答20 「当該被保険者の資格を喪失した日から」ではなく、「当該初診日から」である。

問21 令和8年4月1日前に死亡日がある被保険者について、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるとき、当該被保険者期間の直近の1年間に保険料の滞納がない場合には保険料納付要件を満たすことから、その遺族に遺族厚生年金が支給される。

答21 設問の保険料納付要件の特例は死亡日において65歳以上の者には適用されない。(「わ~ん(1)、いや~ん(イヤー)、65」ですね。)

問22 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに、当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。

答22 「当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から」ではなく、「当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日から」である。

問23 脱退一時金の支給を受けた場合には、脱退一時金の計算基礎となった期間は年金給付の計算期間から除外されるが、被保険者期間には合算される。

答23 脱退一時金の支給を受けたときは、支給を受けた者は、その額の計算の基礎となった被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなされる。(「スッカラカン期間」ですね。脱退一時金の支給を受けた期間はカラ期間にもなりません。国民年金の脱退一時金についても同様です。)

問24 厚生労働大臣は、納付義務者が納付すべき保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を滞納した場合には、その者から延滞金を徴収することができるが、当該延滞金に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。

答24 「1,000円未満」ではなく、「100円未満」である。(「延滞金=3文字=100」ですね。労働保険徴収法、健康保険法も共通ですが、国民年金法だけは、「50円」となるので気をつけてください。)

問25 政府等は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。また、この場合において、受給権者が既に当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けていたときは、政府は保険給付をしないことができる。

答25 政府等は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、「その給付の価額の限度で」、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、「その価額の限度で」、保険給付をしないことができる。(第三者行為災害の規定は、雇用保険法を除くすべての保険法に規定されていますが、「科学(価額)の力を信じてください」です。)

問26 未支給の保険給付の請求は、その支給を受けることができる同順位者が2人以上である場合には、それぞれ行わなければならない。

答26 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。(未支給規定に必ず置かれている「ワンオブオール・オールオブワン?」ですね。)

問27 厚生年金保険法の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税と同順位である。

答27 同順位ではなく、国税及び地方税に次ぐものである。(「国地つぐみちゃん」ですね。)

問28 障害厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、当該障害厚生年金の給付に過誤払いが生じた場合、返還金請求権に係る債務を弁済すべき者に支払うべき老齢厚生年金(当該障害厚生年金と同一の実施機関が支給するものに限る。)の支払金の金額を当該過誤払いによる返還金債権の金額に充当することができる。

答28 老齢厚生年金の支払金の金額を当該過誤払いによる返還金債権の金額に充当することはできない。(充当することができるは、遺族厚生年金のみです。なお、国民年金法の場合は、遺族基礎年金のみです。)

問29 厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。

答29 「1年以内の期日」ではなく、「6か月以内の期日」である。(「過納充当とくれば、ラーメン、つけ麺、「ロク」イケメン」ですね。)

問30 厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬、保険給付又は保険料に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服があるときは、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

答30 「保険料」に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。(健康保険法も同様ですが、国民年金法の「保険料」は二審制になっていますので、気をつけてください。)