択一式定番問題・第5回

第5回は、「国民年金法(30問)」です。今まで同様、すべて「誤り」の問題(過去問ベースの問題)です。

その前に、最近何名かの受講生の方から頂いたご質問についてお答えします。
「選択式対策講座」でお配りした資料のP56の最下段に「高齢者・働けるうちはいつまでも働きたい(平成30年版高齢社会白書)約4割」「弱る(4割)まで、生涯現役頑張るゾ!(私も同感)」と記載しています。
一方、「法改正・白書講座」で使用したテキスト冊子のP11の最下段に「64歳の雇用者では、約3割が70歳以降も就労する意欲がある(平成30年版労働経済白書)」と記載されています。
「4割と3割、どちらが正しいのでしょうか?」というご質問です。
結論を先に申し上げると、「出所(高齢社会白書と労働経済白書)と調査対象者(高齢社会白書は単に60歳以上で現在働いている方、労働経済白書は64歳の雇用者)が異なるので、どちらも正しい」ということになります。
ということは、結果として選択式での出題可能性は低いと言わざるを得ません。この点について配慮が足りなかったことをお詫びします。申し訳ございませんでした。
蛇足ですが、私がここ数年「高齢社会白書」をマークしている理由は、平成22年度の択一式で3肢、平成25年度の択一式で5肢出題されている(択一式で出題されたものが、選択式に使われることが良くある)ことによります。
反省を込めて一句。「あの社長、虫(64)に触る(3割)が、勤めたい」

では、問題スタートです。(今さらですが、以下の問題は、「解く」ものではなく「感じる」ものです。サッと読んで、「これは怪しい」と感じることができれば、それで十分です。)

問1 第3号被保険者の要件である「主として第2号被保険者の収入により生計を維持する」ことの認定は、健康保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済法における被扶養者の認定の取扱いを勘案して、市町村長が行う。

答1 「市町村長」ではなく、「日本年金機構」である。(「3号になれるか、ケン(健康保険法等)ちゃんに聞こう(機構)!」です。)

問2 60歳未満で厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者は、被扶養配偶者であっても、第3号被保険者とならない。

答2 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる60歳未満の者が適用除外とされるのは、第1号被保険者の場合である。(「犬のコロちゃん、ワン(1)コ(厚)ロ(老)ちゃん」です。)

問3 日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の在外邦人で任意加入している者が保険料を滞納したときは、督促状の指定期限の翌日に、その資格を喪失する。

答3 日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の在外邦人で任意加入している者が保険料を滞納したときは、保険料を納付することなく「2年が経過した日の翌日」に、その資格を喪失する。(なお、国内居住の任意加入被保険者が保険料を滞納したときは、「督促状の指定期限の翌日」に、その資格を喪失します。国内は督促状が出せますが、海外はラブレターしか出せないからですね!?)

問4 日本国籍を有する者であって日本国内に住所を有しない60歳以上65歳未満のものが任意加入被保険者の申出をする場合には、正当な事由がある場合を除き、口座振替納付を希望する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。

答4 日本国籍を有する者であって日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のものが任意加入の申出を行う場合は、口座振替納付を希望する旨の申出等は義務づけられていない。当該申出等が義務づけられている(預金口座を有していないなど正当な事由がある場合を除く。)のは、国内居住の任意加入被保険者(特例任意加入被保険者を含む。)である。(「スイス銀行」から保険料の引落しはできないからですね!?)

問5 60歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、任意加入期間中であっても厚生労働大臣に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をすることができる。

答5 任意加入被保険者は、老齢基礎年金の繰上げ支給を請求することができない。(もし、できたとしたら、貰った年金で保険料を払い、その結果年金が増えるというおかしなサイクルが生まれるからです。)

問6 老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該申出を行った日の属する月までの月を単位とする期間に応じて一定率の加算をした額が支給される。

答6 繰下げによる老齢基礎年金の加算額については、本来の年金額に増減率(1,000分の7に老齢基礎年金の受給権を取得した日の属する月から繰下げ支給の申出をした日の属する月「の前月」までの月数(当該月数が60を超えるときは60)を乗じて得た率)を乗じて得た額とされている。(「上げたり下げたり後ろ前」ですね。「おとこ(5/1,000)は上げる、おんな(7/1,000)は下げる」も忘れないでください。)

問7 振替加算は、老齢基礎年金を繰上げ受給した場合は繰上げ受給したときから加算され、繰下げ受給した場合は繰下げ受給したときから加算される。

答7 振替加算は、老齢基礎年金の繰上げ受給している場合であっても65歳になるまで加算されない。また、老齢基礎年金の繰下げ受給した場合は、そのときから振替加算が加算される。ただし、繰下げ受給による増額はない。(「ふりかえ母さん、頑固な母さん」です。)

問8 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病の初診日において被保険者であり、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、同一の傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態になったときは、その者の年齢に関わりなく障害基礎年金の支給を請求することができる。

答8 いわゆる事後重症の障害基礎年金は、65歳に達する日の前日までに請求しなければならない。(事後重症の障害基礎年金の定番論点です。なお、事後重症の障害基礎年金は、請求することによって受給権が発生する請求年金です。)

問9 いわゆる基準障害による障害基礎年金は、65歳に達する日の前日までに基準障害と他の障害を併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当したとしても、その請求を65歳に達した日以後に行うことはできない。

答9 基準障害による障害基礎年金は、事後重症の障害基礎年金と異なり法律上当然に受給権が発生するため、65歳に達した日以後でも行うことができる。(基準障害による障害基礎年金の定番論点です。なお、その支給は、請求のあった月の翌月から開始されます。(受給権発生時に遡らない。)これも、定番論点です。)

問10 20歳前の第2号被保険者期間中に初診日のある障害基礎年金は、受給者の前年の所得が一定の額を超えるときは、その年の8月から翌年7月までその支給を停止される。

答10 20歳前の第2号被保険者期間中に初診日がある(本来の)障害基礎年金については、前年の所得に基づく支給停止の規定は適用されない。(「20歳前、一杯ひっかける」の問題です。なお、20歳前傷病による障害基礎年金は、「20歳前、花(8・7)の咲く時期泊まります。彼氏の家へ。(お父さんに怒られるゾ!)」です。)

問11 障害基礎年金の受給権者が行う改定請求は、障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日から行うことができる。

答11 障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害基礎年金額の改定請求を行うことができるが、この請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、障害基礎年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して「1年を経過した日後」でなければ行うことができない。(「数々の障害乗り越え、試験勉強1年頑張り肥後(日後)熊本へ」です。)

問12 61歳の障害基礎年金の受給権者であって国民年金法の規定による障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した者については、障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した日の翌日に障害基礎年金の受給権は消滅する。

答12 障害基礎年金の受給権者が国民年金法の規定による障害等級に該当しなくなった場合であっても、「厚生年金保険法」の障害等級に定める程度の障害の状態にある間については、障害基礎年金の受給権は失権しない。厚生年金保険法の3級程度の障害に該当しなくなってから「3年経過した日又は65歳到達日」のどちらか遅い方の日に失権する。(「3級不該当3年経過、3級不該当65歳到達、どちらか遅い方」に失権です。)

問13 妻が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その生まれた日の属する月にさかのぼって遺族基礎年金の額を改定して支給する。

答13 妻が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、将来に向かって、被保険者等の死亡当時その者によって生計を維持していたものとみなし、妻は、その者の死亡当時その子と生計を同じくしていたとみなし、「その生まれた日の属する月の翌月から」、遺族基礎年金の額を改定する。(「赤ちゃんは、坂登れません」です。)

問14 遺族基礎年金の受給権者である妻の所在が1年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、申請した日の属する月の翌月から、その支給が停止される。

答14 妻に対する遺族基礎年金は、その者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、「その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって」、その支給を停止する。(所在不明は、「坂を登っていなくなる」です。)

問15 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、労災保険法の規定による遺族補償年金が支給されるときは、死亡日から6年間、その支給を停止する。

答15 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、「労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるとき」は、死亡日から6年間、その支給を停止する。(おなじみの「牢キー(労基)・ロック(6)」です。)

問16 老齢基礎年金の支給を繰上げ又は繰下げる者に対して、付加年金を支給するときは、付加年金も老齢基礎年金と同様に繰上げ、繰下げて支給されるが、その際減額率、増額率は適用されない。

答16 付加年金の支給額もそれに応じて、減額又は増額される。(付加年金は、老齢基礎年金と一体不可分(なかよしボンタンアメ)です。)

問17 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けると、寡婦年金は支給停止される。

答17 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けると、寡婦年金の受給権は消滅する。(老齢基礎年金の繰上げ支給を受けると、寡婦年金との関係では、65歳とみなされるためです。)

問18 死亡一時金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数と、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数とを合算した月数が6月以上ある者であって、老齢基礎年金又は障害基礎年金を受けたことがない者が死亡したときに、その遺族に支給する。

答18 「6月以上」ではなく、「36月以上」である。(「6月以上」となるのは、脱退一時金の方ですね。)

問19 脱退一時金を請求することができるのは、最後に被保険者の資格を喪失した日から2年を経過した日以後である。

答19 最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは、脱退一時金の請求をすることができない。(すなわち、「2年以内に請求」です。)

問20 脱退一時金の額は、付加保険料を3年以上納付している場合には、一律8,500円が加算される。

答20 付加保険料を3年以上納付している場合であっても、脱退一時金の額に8,500円は加算されない。(「判子(85)をつく」のは死亡一時金のみです。)

問21 65歳に達している者の老齢基礎年金と遺族厚生年金、老齢基礎年金と障害厚生年金は、いずれも併給することができる。

答21 65歳に達している者の老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給することが可能であるが、老齢基礎年金と障害厚生年金は併給することができず、選択受給となる。(「満でじ~ちゃん65」は、試験対策必須アイテムです。)

問22 船舶が行方不明になった際に現にその船舶に乗船し、行方不明となった者の生死が分からない場合は、その船舶が行方不明となった日から3か月を経過した日にその者は死亡したものと推定する。

答22 「その船舶が行方不明となった日」にその者は死亡したものと推定する。(「死亡の推定」は、労災保険法、厚生年金保険法にもありますが、論点は4つ、(1)船か飛行機の話になっているか、(2)死亡推定日=行方不明日(事故発生日)になっているか、(3)条文中に出て来る「3か月」が「6か月」(他の数字)に置き換えられていないか、(4)「推定する」が「みなす」になっていないか、です。)

問23 保険料の滞納があるときは、納付義務者に対し督促状を発することができるが、督促状により指定する期限については、督促状を発する日から起算して14日以内と定められている。

答23 督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならないとされている。(「督促の「と」と10日の「と」を結ぶ」、「以内」だと逆切れされる(ただでさえ、お金に困っている)ので当然「以上」です。)

問24 任意加入被保険者には、法定免除、申請による全額免除及び一部免除は行われないが、学生納付特例は適用される。

答24 任意加入被保険者についは保険料免除の規定は適用されない。(自ら進んで入ってきたのに、「お金がないのでまけてください」は虫が良すぎるからです。)

問25 繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している者であっても、65歳に達する日の前日までの間であれば、保険料免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料につき、厚生労働大臣の承認を受けて、当該承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものについて、その全部又は一部につき追納することができる。

答25 老齢基礎年金の受給権者(繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者を含む。)については、追納は認められていない。(もし、追納ができるんだったら、貰った年金で私もします。)

問26 将来の一定期間前納すべき保険料の額は、当該期間各月の保険料の合計額からその期間の各月の保険料の額を年4分5厘の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額を控除した額とする。

答26 「年4分5厘」ではなく、「年4分」である。(「割り引くときは、いつも、シブシブ(4分)」ですね。)

問27 第1号被保険者又は第3号被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存確認情報の提供を受けることができる者を除く。)が婚姻によって氏名を変更したときは、当該事実のあった日から14日以内に、所定の事項を記載した届書を市町村長に提出しなければならない。

答27 第3号被保険者の氏名変更届は、「市町村長」ではなく、「厚生労働大臣」に提出しなければならない。(「いちはいち」(第1(いち)号は市(いち)町村長)、「大臣さん」第3号は厚生労働大臣です。)

問28 第3号被保険者は、その配偶者が第1号厚生年金被保険者の資格を喪失した後引き続き第4号厚生年金被保険者となったときは、当該事実があった日から14日以内に、種別変更の届出を厚生労働大臣に行わなければならない。

答28 「種別変更の届出」ではなく、「種別確認の届出」である。(3号であることに変わりはないからですね。)

問29 受給権者が、正当な理由がなくて、規定による各種の届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の額の全部又は一部につき、その支払を停止することができる。

答29 受給権者が、正当な理由がなくて、規定による各種届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の支払を一時差し止めることができる。(「出ない(届出しない)出ない(提出しない)はサシトメール、翌朝スッキリ!」です。)

問30 国民年金基金が支給する一時金は、少なくとも当該基金の加入員又は加入員であった者が死亡した場合において、その遺族が遺族基礎年金を受けたときには、その遺族に支給されるものでなければならない。

答30 「遺族基礎年金」ではなく、「死亡一時金」である。(「一時金つながり」(基金が支給する一時金と死亡一時金)で覚えておきましょう。)