択一式定番問題・第4回

第4回は、「健康保険法(30問)」です。今まで同様、すべて「誤り」の問題(過去問ベースの問題)です。

その前にちょっと一言(といっても長くなりますが・・・)、先日ある受講生の方から「労務管理用語のベスト5を教えてください。」というご要望がありました。ご承知のように「労務管理用語」は試験の範囲ではありますが、本試験の中では、もはや「化石」状態になっていて、出題される確率は非常に低いと思われます。が、これも何かの「神のお告げ」かと思い、一日考えた末の「マイベスト5」を発表!?します。(1)テレワーク、(2)ダイバーシティ、(3)限定正社員、(4)TFP、(5)イノベーションです。いずれも「働き方改革」関連の用語です。(大体の意味を掴んでいれば十分だと思います。決して、目力を入れて読まないでください。)

(1)テレワーク、(2)ダイバーシティ
【情報通信白書・総務省より】
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことである。我が国においては、同じ職場に出勤しチームで顔を合わせて働く働き方が中心となっているが、近年の女性活躍等を念頭に置いたダイバーシティ経営の考え方や働き方改革の気運の高まり等の要因により、テレワークに対する注目が集まりつつある。通信利用動向調査によると、2017年9月末時点でテレワークを導入している企業は全体の13.9%であった。テレワーク導入率の移動平均を見ると、テレワークを実施している企業は近年上昇傾向にある事が分かる。
【参考1:テレワークの分類】
テレワークの分類には雇用関係の有無により「雇用型テレワーク」「自営型テレワーク」に分類される。さらに雇用型テレワークは企業が用意した働く場所の違いにより「在宅勤務(自宅で勤務するもの)」「施設利用型(会社のサテライトオフィス等で勤務するもの)」「モバイルワーク(施設に依存せず、いつでもどこでも仕事が可能なもの)」のように分類される。(お家でテレ~っと仕事する?)
【参考2:ダイバーシティ】
ダイバーシティとは、多様な人材を積極的に活用しようという考え方のこと。もとは、社会的マイノリティの就業機会拡大を意図して使われることが多かったが、現在は性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするマネジメントについていう。企業がダイバーシティを重視する背景には、有能な人材の発掘、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへの対応といったねらいがある。(都会の街には、いろんな人が潜り込んでいるのか!?)

(3)限定正社員
【労働経済白書・厚生労働省より】
企業が限定正社員という働き方を導入している理由は、「仕事と育児・介護・病気治療の両立を支援するため」が54.6%と最も多く挙がっており、次いで、「人材の特性に合わせた多様な雇用管理を行うため」が43.0%、「優秀な人材を採用するため」が28.9%、「職務を限定することで、専門性や生産性の向上をより促すため」が23.5%、「非正社員から正社員への転換を円滑化させるため」が13.6%となっている。
【参考3:限定正社員】
限定正社員とは、別称「ジョブ型正社員」とも呼ばれ、勤務地・職務内容・労働時間などが限定された正社員のことをいう。無期雇用で企業の福祉厚生などを受けられ、転勤や残業などがないなどのメリットがある反面、通常の正社員と比べて解雇されやすいといった問題点もある。

(4)TFP、(5)イノベーション
【労働経済白書・厚生労働省より】
我が国は、少子高齢化による供給制約下にあることを踏まえると、今後の経済成長にはTFPの上昇が重要であり、TFPを上昇させるためにはイノベーション活動の促進を行うことが効果的である。
【参考4:TFP(total factor productivity)】
TFPとは、「全要素生産性」のことであり、生産性を算出し評価する方法の一つ。生産性とは、「投入量と産出量の比率」のことであり、大きく「労働生産性」、「資本生産性」、「全要素生産性」に分かれる。TFPは、労働や資本といった生産要素の増加で説明できない部分の増加を計測したもので、通常は「技術進歩の進捗率」を示すものとされている。
(いや~難しい言葉ですね。ラサール高校に行っておけば良かったです。T=とうちゃん、F=フラれて、P=パニック、仕事に手がつかず、よそ(要素)見ばっかりして、ぜんぜん生産性が上がらない?)
【参考5:イノベーション】
イノベーションとは、「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で清算すること」をいう。(あの真面目なイノッチが「べー」した。新キャラか?)

では、問題スタートです。

問1 合併により設立された健康保険組合又は合併後存続する健康保険組合のうち地域型健康保険組合に該当する組合は、当該合併が行われた日の属する年度及びこれに続く3か年度に限り、一定の範囲内において不均一の一般保険料率を設定することができる。

答1 「3か年度」ではなく、「5か年度」である。(「ちいきがた=5文字=5か年度)ですね。)
【指定健康保険組合による財政の健全化計画の作成】
指定健康保険組合は、健全化計画を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならないが、当該健全化計画は、指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする3か年間の計画とされている。(こちらは、「してい=3文字=3か年間」です。)

問2 健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

答2 「3分の2以上」ではなく、「4分の3以上」である。(「設(設立)・合(合併)・分(分割)・解(解散)、四大事件」のうちの3つ(合併・分割・解散)に出て来る分数です。(設立時は、組合会は未結成のため、設問のような議決の話はありません。)

問3 事業所の所在地が一定しない事業所に使用される者であって、継続して6か月以上使用されることとなる者は、被保険者となる。

答3 事業所の所在地が一定しない事業所(巡回興行等)に使用される者は、例外なく、健康保険の適用除外者である。(「くるくるくるくる回って(巡回)いつまでたっても被保険者になれません」ですね。厚生年金保険法も同様です。)

問4 任意適用事業所の事業主が被保険者の4分の3以上の同意を得て任意脱退の認可を受けたときは、全被保険者が被保険者の資格を喪失するが、被保険者の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者であったものは、被保険者の資格を喪失した日から20日以内に保険者に申し出ることにより、任意継続被保険者となることができる。

答4 任意脱退の認可を受けたことにより、資格を喪失した者は、任意継続被保険者になることはできない。(任意に脱退した者について、再び任意に加入を認めるのは、不合理だからです。)

問5 標準報酬月額の上限該当者が、3月31日において全被保険者の1.5%を超え、その状態が継続すると認められるときは、厚生労働大臣は社会保障審議会の意見を聴いてその年の9月1日から上限を改定することができる。ただし、改定後の上限該当者数が9月1日現在で全被保険者数の0.5%未満であってはならない。

答5 毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が100分の1.5を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、厚生労働大臣は社会保障審議会の意見を聴いて、その年の9月1日から、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができることになっているが、「その年の3月31日において」、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が100分の0.5を下回ってはならないとされている。(「一期(1.5)一会」も「温故(0.5)知新」も、3月の卒業式で校長先生がお述べになったお言葉です。)

問6 報酬月額が145万円で第50級の標準報酬月額に該当する者が、降給により報酬月額等級が第48級以下になった場合は随時改定の対象になるが、第49級になった場合は随時改定の対象とはならない。

答6 第50級の標準報酬月額にある者の報酬月額(報酬月額が141万5千円以上である場合に限る。)が降給したことにより、その算定月額が第49級以下の標準報酬月額に該当することとなった場合は、1等級の変動であっても随時改定の対象となる。(細かい数字(141万5千円)に論点はありません。とにかく「1等級の変動」であっても随時改定の対象となることがあるというところがポイントです。)

問7 複数の適用事業所に使用される被保険者の標準報酬月額は、それぞれの事業所から受ける報酬を基礎として事業所毎に算定した標準報酬月額の合計額とする。

答7 各事業所から受ける報酬によって報酬月額を算定し、その合算額を基礎として標準報酬月額を決定する。(2以上事業所勤務者について、標準報酬月額を算定するタイミングは、最後の1回だけです。それぞれの事業所で算定することはありません。)

問8 保険医療機関または保険薬局は、3月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができ、またその登録の抹消を求めることができる。

答8 「3月以上」ではなく、「1月以上」である。(なお、保険医又は保険薬剤師は、1月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができます。「病院の先生なんか、一突き(1月)で抹消してやる!」ですね。先生、ごめんなさい。)

問9 食事療養標準負担額は、高額療養費の対象となる。

答9 食事療養標準負担額については、高額療養費の対象にならない。(なお、生活療養標準負担額についても同様です。「元気なときもご飯は食べる、電気はつけるし水も飲む」からですね。)

問10 病床数100以上の病院において他の病院又は診療所からの文書による紹介なしに受けた初診(緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く。)は、選定療養とされる。

答10 「100以上」ではなく、「200以上」である。(「さすが、名球会入り、200勝(床)以上」ですね。)

問11 海外出張中の被保険者が海外の病院で療養を受けた場合、その療養費の支給申請は事業主を経由して行い、事業主が代理受領することになっており、また、支給額の算定に用いる邦貨換算率は、支給申請日における外国為替換算率を用いる。

答11 海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その「支給決定日」の外国為替換算率(売レート)を用いる。(「海外、止血(支決)血を止めろ!」ですね。)

問12 自宅で療養している被保険者が、保険医療機関の看護師から療養上の世話を受けたときは、訪問看護療養費が支給される。

答12 指定訪問看護事業者の指定を受けていない保険医療機関の看護師から療養上の世話を受けたときは、「療養の給付」が行われる。(訪問看護療養費に係る看護師さんは、必ず、指定訪問看護事業者からやって来ます。)

問13 指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、主治の医師が指定する指定訪問看護事業者から受けるものとされている。

答13 指定訪問看護を受けようとする者は、「自己の選定する」指定訪問看護事業者から受けるものとされている。(「日本の医療は、フリーアクセス」、自ら自由に選べます。)

問14 移送に要した費用のうち、原則として3割を被保険者が負担する。

答14 移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定された額を、現に要した費用を限度として支給するとされている。一部負担金相当額の自己負担はない。(ので、労災保険の「療養の給付」と異なり、健康保険では「移送費」が独立した給付となっています。)

問15 傷病手当金の受給中に出産手当金が支払われるときは、傷病手当金の支給が優先され、その期間中は出産手当金の支給は停止される。

答15 出産手当金を支給する場合においては、その期間、傷病手当金は、支給しない(差額支給を除く)。出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金は、出産手当金の内払とみなす。(「おめでた優先!」ですね。)

問16 被保険者が死産児を出産した場合、出産育児一時金及び家族埋葬料が支給される。

答16 妊娠4か月以上(85日以上)の分娩については、生産、死産、流産(人工流産を含む。)又は早産を問わずすべて出産育児一時金等が支給されるが、死産児は被扶養者に該当しないので家族埋葬料は支給されない。

問17 高額療養費の多数回該当については、転職により健康保険組合の被保険者であった者が全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わった場合でも、高額療養費の支給回数は通算される。

答17 健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わる等、管掌する保険者が変わった場合には、支給回数は通算されない。

問18 高額療養費の時効について、その起算日は、診療月の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治癒した場合においても同様である。ただし、診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った月の1日が起算日となる。

答18 高額療養費の消滅時効の起算日は、診療日の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治癒した場合においても同様である。ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、「支払った日の翌日」が起算日となる。(頻出事項です。パーフェクトに覚えてください。)

問19 被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けた場合、被保険者と同様に保険外併用療養費が支給される。

答19 被扶養者が療養を受けた場合には、被保険者に対する療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費に相当するものが、「家族療養費」として被保険者に支給される。(「家族療養費は、一人五役」をお忘れなく。)

問20 被扶養者が保険医療機関において療養を受けたときは、被扶養者に対して家族療養費が支給される。

答20 家族療養費は、被扶養者に支給されるのではなく、「被保険者」に対して支給される。(いわゆる「お約束」問題です。慌てて読んで引っ掛からないように。)

問21 被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に死亡したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料の支給を受けることができる。

答21 「6か月以内」ではなく、「3か月以内」である。(「埋葬料=3つの漢字=3か月」ん~少し無理がありますね。)

問22 事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、その者を使用するすべての事業主)は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。

答22 日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、「初めにその者を使用する事業主」が納付義務を負うこととされている。(「日雇ハジメくん」ですね。)

問23 日雇特例被保険者が出産した場合において、その出産の日の属する月の前6月間に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されているときは、出産育児一時金として、政令で定める額が支給される。

答23 「前6月間」ではなく、「前4月間」である。

問24 日雇特例被保険者に係る出産手当金の額は、1日につき、出産の日の属する月の前4月間の保険料が納付された日に係る賃金日額の各月ごとの合算額を平均した額の30分の1に相当する金額である。

答24 「各月ごとの合算額を平均した額の30分の1に相当する金額」ではなく、「各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する金額」である。(「最大のものってシ(す)ゴ~イ(45・1)」ですね。

問25 育児・介護休業法に基づく育児休業等期間中の保険料については、事業主が保険者に申出することにより、その育児休業等を開始した日の属する月の翌月からその育児休業等が終了する日の属する月の前月までの被保険者及び事業主が負担すべき保険料について免除される。

答25 保険料が免除されるのは「その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間」である。(平たくいえば、「育休開始月から職場復帰月前月まで」ですね。)

問26 保険者は、偽りその他不正の行為により療養の給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき療養の給付の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りではない。

答26 保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6月以内の期間を定め、その者に支給すべき「傷病手当金又は出産手当金」の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。(「し(6=シックス)し(傷病手当金)し(出産手当金)、すべて「し」でいっち(1年)」ですね。)

問27 被保険者が故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行われないため、自殺により死亡した場合の埋葬料は支給されない。

答27 死亡は絶対的な事故(終生1回限りの事故)であるので、その原因が自殺によるものであっても埋葬料(埋葬費)は支給される。

問28 保険者は、被保険者または被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の全部または一部を行わないことができる。

答28 保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の「一部」を行わないことができる。(健康保険法特有の「言うこと聞かない健一(一部)くん」ですね。労災保険法、国民年金法や厚生年金保険法では、「正当な理由なしに療養に関する指示に従わない」と「全部又は一部を行わないことができる」となります。)

問29 被保険者が刑事施設、労役場等に拘禁されているときは、埋葬料・埋葬費を除き、被保険者及び被扶養者に対してその期間に係る給付は行われない。

答29 被保険者が刑事施設、労役場等に拘禁されて給付制限を受けている場合であっても、その被扶養者に対する保険給付は制限されない。

問30 被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならないが、任意継続被保険者に関する保険料については、翌月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければならない。

答30 任意継続被保険者に関する保険料については、「当月」の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければならない。

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