冬休みの友・第4回解答

労働基準法

【労働時間、休憩、休日】

問61 坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を除いて労働時間とみなす。

答61 × 坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までを坑内における『休憩時間を含めて』、すべて労働時間とみなす。また、坑内労働の性質上、休憩の一斉付与及び休憩時間の自由利用の定めの適用は事実上無理であるため、その適用は排除されている。(法32条、38条2項)テキストP50

【コメント】

過酷な肉体労働が故ですね。

 

問62 1日の労働時間が8時間の場合には、休憩時間は45分で足りる。

答62 〇 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。従って、8時間の場合には45分で足りることとなる。(法34条1項)テキストP51

【コメント】

一般的には、「8時間労働・1時間休憩」が普通です(45分休憩だと、1分でも残業させるためには15分の休憩を追加しないといけなくなるからです)が、この問題に限らず、試験ではあくまでも「法律上はどうか」ということで判断することがポイントです。

 

問63 居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除く。)については、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けることにより、休憩時間の自由利用の適用が除外される。

答63 × 設問の者については、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けることなく、休憩時間の自由利用の適用が除外される。(則33条)テキストP52

【コメント】

家庭的保育者(ベビーシッターさん)は、子どもとマンツーマンのお仕事なので、必然的に「自由利用」はできない(休憩中であっても目を離せない)からですね。

 

問64 労働時間については、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算される。

答64 〇 なお、「事業場を異にする場合」とは、事業主を異にする場合も含むこととされている。(法38条)テキストP50

【コメント】

労働基準法の適用が事業(場所)単位であることから設問(労働時間の通算)の規定が置かれています。(この規定がないと、同じ日に本社で8時間、支店で8時間働いても残業代は1円も出ないことになるからですね。)

 

問65 使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないが、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、毎週休日を与えなくてもよい。

答65 〇 なお、使用者は、変形週休(4週4休)制の規定により労働者に休日を与える場合には、就業規則その他これに準ずるものにおいて、4日以上の休日を与えることとする4週間の起算日を明らかにしなければならない。(法35条)テキストP52

【コメント】

基本科目では、圧倒的に「例外」が論点となります。「原則」はもちろん大切ですが、重要な「例外」はセットで押さえていきましょう。

 

【年次有給休暇】

問66 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定が締結された場合には、使用者は、その協定に基づく年次有給休暇について時季変更権を行使できない。

答66 〇 計画的付与に関する労使協定が締結された場合には、労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権は、いずれも行使できない。(法39条6項、昭和63.3.14基発150号)テキストP89

【コメント】

計画的付与が決まると、「オートロック」がかかります。

 

問67 労使協定による年次有給休暇の計画的付与として、事業場全体の休業による一斉付与が行われる場合に、年次有給休暇の権利のない者を休業させるためには、その者に休業手当を支払わなければならない。

答67 〇 (法39条6項、昭和63.3.14基発150号)テキストP89、46未記載

【コメント】

例えば「入社間もない社員」が該当します。本人はやる気満々!?なのに、会社(計画的付与)のせいで休まなければならないこと(使用者の責めに帰すべき休業)になるからですね。

 

問68 労使協定による年次有給休暇の計画的付与の対象となるのは、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分であるが、この場合の年次有給休暇日数には、新規に発生した年次有給休暇のみならず、前年からの繰越分の年次有給休暇も含まれる。

答68 〇 計画的付与は、前年からの繰越分を含めた年次有給休暇の日数のうち、5日を超える部分について行うことができる。(法39条6項、昭和63.3.14基発150号)テキストP89

【コメント】

要するに労働者の持ち分の最低「5日」をフリーにしておけば良いということです。

 

問69 使用者は、6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して年次有給休暇を与えなければならないが、正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日は、この出勤率計算の際の「全労働日」には含まれない。

答69 〇 他に「全労働日に含まれない日」には、①不可抗力による休業日、②使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日、③所定の休日に労働した日、④代替休暇を取得して終日出勤しなかった日がある。(平成25.7.10基発0710第3号)テキストP85

【コメント】

「不眠不休(可効力による業日)で休日労働(所定休日(休日労働含む))し(使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日)そう(議行為の日)…代わりの休みを取らなくちゃ(暇取得日)」(ん~イマイチ、いやイマサンですね。)この部分で圧倒的に出題実績が多いのが、「所定休日(休日労働を含む)」です。これを「お宝」にしましょう。

 

問70 1日の所定労働時間が6時間で、1週間の所定労働日数が4日の労働者の場合、年次有給休暇の比例付与の対象とならないので、通常の労働者と同じ日数の年次有給休暇を与えなければならない。

答70 × 設問の労働者は「週所定労働時間が30時間未満、かつ、週所定労働日数が4日以下」であるため、年次有給休暇の比例付与の対象となる。(法39条3項、則24条の3)テキストP87

【コメント】

設問の労働者と同じ「週所定24時間」であっても、1日の所定労働時間が4時間で、1週間の所定労働日数が6日の労働者の場合は、通常の労働者と同じ日数の年次有給休暇を与えなければなりません。「かつ」要件がポイントですね。「みそ(30)かつよ~(4)太る(216)」

 

問71 法41条2号に規定するいわゆる管理監督者についても、法39条の要件を満たす限り、年次有給休暇を付与しなければならない。

答71 〇 法41条該当者(労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外者)にも年次有給休暇の規定は適用される。(法41条、昭和22.9.13基発17号)テキストP54

【コメント】

法41条該当者には「休日」の規定は適用されませんが、「休日」と「休暇」は異なります。「休日」とは、もともと労働義務がない日のことをいいますが、「休暇」とは、もともと労働義務がある日について、一定の手続きを取ることにより取得できるお休みのことをいいます。(法律上は、年次有給休暇のほか、生理休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇などがありますね。)

 

問72 使用者は、労働者から請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の時季にこれを与えることができるが、派遣労働者の年次有給休暇について、事業の正常な運営を妨げる場合に該当するか否かは、派遣元の事業について判断される。

答72 〇 派遣労働者が派遣先の事業において就労しないことが派遣先の事業の正常な運営を妨げる場合であっても、派遣元との関係においては事業の正常な運営を妨げる場合に当たらない場合もあり得るので、代替労働者の派遣の可能性も含めて派遣元の事業の正常な運営を妨げるかどうかを判断することとなる。(法39条5項、昭和61.6.6基発333号)テキストP89

【コメント】

いわゆる使用者の「時季変更権」についての問いかけですが、派遣労働者の場合は、代わりの派遣労働者がいれば事なきを得るからですね。(現実的には難しいと思いますが…)

 

問73 年次有給休暇の付与要件である出勤率の算定上、育児・介護休業法による育児休業をした期間については、出勤したものとみなすこととされている。

答73 〇 設問のほか、「出勤したものとみなす期間・日」として、①業務上の傷病による療養のための休業期間、②産前産後の休業期間、③育児・介護休業法の介護休業を取得した期間、④年次有給休暇を取得した日、⑤労働者の責めに帰すべき事由とはいえない不就労日(解雇無効期間など)がある。(法39条10項)テキストP85

【コメント】

「行く(育)ぞ開(介)業(業)3(産)年(年)目、何でもかんでも買い込む(解雇無効)ゾ!」ですね。

 

問74 使用者は、年次有給休暇の期間については、労使協定がない限り、就業規則その他これに準ずるものの定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払えばよい。

答74 〇 労使協定により、年次有給休暇の期間について健康保険法上の標準報酬賃金月額の30分の1に相当する金額を支払う旨を定めたときは、それによらなければならないが、労使協定がない場合は設問のとおりとなる。(法39条9項)テキストP91

【コメント】

以下のお話しは試験には関係ありませんが、一般的には「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」を使用するところが多い(労働者の理解が得られ易く給与計算が簡単なため)ですが、パートさん等1日の所定労働時間が何種類かある場合は「平均賃金」を使用するところもあります。また、「健康保険法の標準報酬月額の30分の1」を使用することがあるのは、タクシーの運転手さんなど歩合給の(月ごとにお給料に大きな波がある)方です。

 

問75 いわゆる時間単位年休についても、使用者の時季変更権の対象となり、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による請求をした場合に時間単位に変更することも、時季変更に当たり、認められる。

問75 × 時間単位年休についても、使用者の時季変更権の対象となるが、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による請求をした場合に時間単位に変更することは、時季変更に当たらず、認められない。(法39条5項、平成21.5.29基発0529001号)テキストP89

【コメント】

常識的に考えてもそんなことはできませんよね。(数字論点のない問題で、覚えていないことや知らない問題が出た場合は、勇気を出して!?コモンセンスで判断しましょう。)

 

【年少者、妊産婦等】

問76 使用者は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童を、労働基準監督署長の許可を受けて使用する場合においては、修学時間を通算して1週間に40時間まで、修学時間を通算して1日に7時間まで労働させることができる。

答76 〇 また、児童を修学時間のない日(通常日曜日)に労働させることは、別の修学日に休日を与えていれば差し支えないこととされている。(法60条2項)テキストP97

【コメント】

「修学時間を通算して」というところと、「1日について7時間(児童はい~な)」がポイントです。

 

問77 使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満16歳以上の者については、この限りでない。

答77 × 「交替制によって使用する満16歳以上の者」ではなく、「交替制によって使用する満16歳以上の男性」である。(法61条1項)テキストP96

【コメント】

「色男(16・男)はつらい」ですね。

 

問78 使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

答78 × 他の軽易な業務への転換を義務づけているのは、「妊娠中の女性」が請求した場合に限られている。(法65条3項)テキストP101

【コメント】

「お腹が重いから軽い仕事」ですね。

 

問79 生後満1年に達しない生児を育てる労働者は、休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。

答79 × 育児時間を請求することができるのは、生後満1年に達しない生児を育てる「女性」とされており、男性は請求することはできない。(法67条1項)テキストP102

【コメント】

育児時間の趣旨は「授乳時間の確保」です。男性はどんなに頑張ってもムリです。

 

問80 生理休暇については、女性労働者が時間単位で請求した場合、使用者はその範囲で就業させなければ足りるものであり、暦日単位に休暇を与える必要はない。

答80 〇 生理休暇は、暦日単位で行わなければならないものではなく、女性が半日又は時間単位で請求した場合には、使用者はその範囲で就業させなければ足りるとされている。(法68条、昭和61.3.20基発151号)テキストP103

【コメント】

生理「休暇」といいますが、本人が必要とする時間又は日数を与えなければならないということです。

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