ミニミニ本試験(第3回解答)

ミニミニ本試験(第3回解答)

 

【労働基準法】

1.労働基準法は、金銭貸借に基づく身分的拘束の発生を防止することを目的として、使用者が労働者に金銭を貸すこと、及び賃金債権と賃金を相殺することを禁止している。

× 法17条において、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」と規定しているが、この規定は、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し、金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止することがその趣旨であるから、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働することを条件とする債権には含まれない。また、同条では使用者の側で行う相殺を禁止しているのであって、労働者が自らの意思で相殺することは禁止されていない。(法17条)

2.最高裁判所の判例によると、使用者が法20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである、としている。

〇 (法20条、最判昭和35.3.11細谷服装事件)

3.使用者は、労働者が退職から1年後に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合は、これを交付する義務はない。

× 退職時の証明書の請求権の時効は、法115条の規定により2年とされている。(法22条2項、115条、平成11.3.31基発169号)

4.1か月単位の変形労働時間制については、1日及び1週間の労働時間の上限は特に定められていない。

〇 (法32条の2)

5.出張中の休日は、その日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合のほかは、その日が法35条の休日に該当するときであっても、休日労働として取り扱わなくても差し支えないこととされている。

〇 (法35条、昭和33.2.13基発90号)

6.年次有給休暇の時間単位の取得について、使用者は、その時間に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げるときは、時季変更権を行使することができる。

〇 なお、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による所得を請求した場合に時間単位に変更することは、時季変更に当たらず、認められない。(法39条4項、平成21.5.29基発0529001号)

7.就業規則において、退職後一定期間同業他社への就職を禁止することは、社員の職業選択の自由を不当に拘束するものとは必ずしもいえないが、同業他社への就職を理由として退職金を減額する旨の規定は著しく不合理であって、公序良俗に反し無効であるというのが最高裁判所の判例である。

× 社員が同業他社へ転職したときは、退職金の額を自己都合退職の場合の2分の1とする規定は、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、一般の自己都合退職の場合の半額の限度においてしか発生しないという趣旨であって、労働基準法に違反せず、民法90条(公序良俗規定)にも違反しない、というのが最高裁判所の判例である。(最判昭和52.8.9三晃社事件)

【労働安全衛生法】

8.産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、衛生管理者が行う巡視の結果等所定の情報を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも6月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

× 設問中括弧書きについて、「少なくとも6月に1回」ではなく、「少なくとも2月に1回」である。なお、事業者は、衛生管理者に対し、労働者の健康管理等に関する措置をなし得る権限を与えなければならないとされている。(則15条)

9.事業者は、労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、労働安全衛生規則に定める事項について、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならないが、当該事項の全部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者であっても、その全部についての安全衛生教育を省略することはできない。

× 作業内容変更時の安全衛生教育に係る事項の全部又は一部に関して十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、その事項(全部であれば全部の事項)についての教育を省略することができる。(則35条2項)

10.事業者は、深夜業を含む業務に常時従事する労働者について、当該業務への配置換えの際及び6月以内に1回、定期に、労働安全衛生規則に定める項目について健康診断を実施しなければならない。

〇 深夜業を含む業務は、「特定業務従事者の健康診断」を行うべき有害業務とされている。(法66条1項、則45条)

【労災保険法】

1.業務との関連性がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2第1号から第11号までに掲げる疾病に該当しなければ、業務上の疾病とは認められない。

〇 第1号(業務上の負傷に起因する疾病)と第11号(その他業務に起因することの明らかな疾病)は、具体的な疾病名は記載されていないため、設問のように言い切ることができる。(労働基準法施行規則35条、同別表第1の2)

2.給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とされているが、この場合において、同条1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、負傷、疾病、障害若しくは死亡の原因である事故の発生した日とされる。

× 平均賃金を算定すべき事由の発生した日とは、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日である。(法8条1項)

3.傷病補償年金の支給要件に係る業務上の傷病による障害の程度は、1年6か月以上の期間にわたって存する障害の状態によって認定される。

× 「1年6か月以上」ではなく、「6か月以上」である。(則18条2項)

4.遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。

〇 なお、所在不明による支給停止は、所在不明になったときにさかのぼって行われる。(法16条の5第1項)

5.労災保険法の障害補償給付又は障害給付を受ける権利を有する者には、当該障害に係る傷病について厚生年金保険法の障害手当金は支給されない。

〇 (厚生年金保険法56条3号)

6.国内において事業を行う中小事業主が、海外派遣者の特別加入に係る政府の承認を受けるためには、当該中小事業主は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しなければならない。

× 中小事業主等の特別加入については、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものであることを要件とされているが、海外派遣者についてはそのような要件はない。(法33条1項6号、7号)

7.保険給付に関する不支給決定に不服のある被災者や遺族は、審査請求をした日から2か月を経過しても労働者災害補償保険審査官の決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

× いわゆる「みなし棄却」の規定であるが、「2か月」ではなく。「3か月」である。(法38条2項)

【労働保険徴収法】

8.保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の事業主については、その者が当該保険関係の消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日の翌日に、その事業についての当該保険関係が消滅するが、当該申請は、その事業に使用される労働者の4分の3以上の同意を得なければ行うことができない。

〇 (法附則4条)

9.建設の事業のうちで、有期事業の一括が行われるのは、事業主が同一人であって、それぞれの事業の規模が、概算保険料に相当する額が160万円未満であり、かつ、請負金額が1億8千万円未満の場合に限られるが、当該「1億8千万円」については、消費税を含まない額とされている。

〇 (法7条5号、則6条1項)

10.事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ、雇用保険印紙購入通帳交付申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならないが、当該雇用保険印紙購入通帳は、交付の日から1年間、その効力を有する。

× 雇用保険印紙購入通帳は、その交付の日の属する年度に限り、その効力を有する。なお、その後も使用する場合には、事業主は、毎年3月1日から3月31日までの間に有効期間の更新を行わなければならない。(則42条1項、2項)

【雇用保険法】

1.事業主は、その雇用する被保険者(特例高年齢被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)の個人番号が変更されたときは、速やかに、個人番号変更届を所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。

〇 (法7条、則6条1項)

2.疾病又は負傷のために管轄公共職業安定所に出頭することができなかった場合において、その期間が継続して15日未満であるときは、出頭することができなかった理由を記載した証明書を提出することによって、失業の認定を受けることができる。

〇 なお、設問の証明書による認定を受けようとする受給資格者は、その理由がやんだ後における最初の失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、所定の事項を記載した証明書を受給資格者証に添えて提出しなければならないこととされている。(法15条4項)

3.60歳の定年に達したため退職した者が、当該離職後、直ちに求職の申込みをしないことを希望する場合、公共職業安定所長にその旨を申し出れば、基本手当の受給期間は一律に、基準日の翌日から起算して2年に延長される。

× 設問の場合、受給期間が一律に2年に延長されるのではない。当初の受給期間にその求職の申込みをしないことを希望する期間(1年を限度)を加算した期間が受給期間となる。(法20条2項)

4.期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)は、特定理由離職者に該当する。

〇 なお、法33条1項の正当な理由のある自己都合により離職した者も特定理由離職者に該当する。(法13条2項、則19条の2)

5.就業手当は、職業に就いた受給資格者(厚生労働省令で定める安定した職業に就いたものを除く。)であって、その職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が、当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上であるものに対して、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に従って必要があると認めたときに支給する。

〇 なお、就業手当の額は、現に職業に就いている日(当該職業に就かなかったこととした場合における同日から当該就業手当に係る基本手当の受給資格に係る基本手当の受給期間の最後の日までに基本手当の支給を受けることができることとなる日があるときに限る。)について、基本手当日額に10分の3を乗じて得た額である。(法56条の3第1項)

6.高年齢再就職給付金は、就職日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある場合でなければ支給されない。

〇 (法61条の2第1項)

7.事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業、能力開発事業及び労働保険徴収法又は同法施行規則による書類を除く。)をその完結の日から2年間(被保険者に関する書類にあっては、4年間)保管しなければならない。

〇 (則143条)

【労働保険徴収法】

8.令和4年3月25日に締切り、翌月10日支払の月額賃金は、令和3年度の確定保険料の算定基礎となる賃金に含まれる。

〇 保険年度中に使用した労働者に支払うことが具体的に確定した賃金であれば、その保険年度に支払われていないもの(例えば、3月中に賃金締切日があるが、4月1日以後に支払われる賃金)も当該保険年度の賃金総額に含まれる。(法19条1項、昭和24.10.5基災収5178号)

9.延滞金の計算において、労働保険料の額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。また、延滞金の額に100円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。

〇 (法28条3項、4項)

10.所轄都道府県労働局歳入徴収官は、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、納入告知書により、事業主に、当該特例納付保険料の額及び納期限を通知しなければならない。

〇 (則59条)

【労働一般】

1.労働契約法によれば、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

〇 (労働契約法12条)

2.短時間・有期雇用労働法によれば、事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。)に対しても、利用の機会を与えるように努めなければならない。

× 「利用の機会を与えるように努めなければならない」ではなく、「利用の機会を与えなければならない」である。(短時間・有期雇用労働法12条)

3.育児・介護休業法によれば、介護休暇の対象となる家族(対象家族)とは、配偶者(事実婚を含む。)、父母及び子、祖父母、兄弟姉妹及び孫をいう。

× 介護休暇の対象となる家族(対象家族)とは、配偶者(事実婚を含む。)、父母及び子並びに配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫をいう。(育児・介護休業法2条、16条の5)

4.最低賃金法によれば、最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、当該労働契約を無効とする。

× 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなす。労働契約そのものを無効とするわけではない。(最低賃金法4条2項)

5.中小企業退職金共済法によれば、退職金共済契約は、被共済者ごとに、掛金月額を定めて締結するものとし、掛金月額は、被共済者1人につき、5千円(短時間労働被共済者にあっては、2千円)以上3万円以下でなければならない。

〇 なお、共済契約者(事業主)は、契約が効力を生じた日の属する月から被共済者(従業員)が退職した日又は退職金共済契約が解除された日の属する月までの各月について、毎月分の掛金を翌月末日までに納付しなければならないこととされている。(中小企業退職金共済法22条)

【社会一般】

6.社会保険労務士法によれば、紛争解決手続代理業務は、特定社会保険労務士に限り行うことができる。

〇 なお、紛争解決手続代理業務とは、

① 個別労働関係紛争解決促進法に規定する紛争調整委員会が行うあっせん手続代理

② 労働施策総合推進法、障害者雇用促進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及び短時間・有期雇用労働法及び労働者派遣法に規定する調停手続代理

③ 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手続代理

④ 裁判外紛争解決手続利用促進法(ADR法)に規定する民間紛争解決手続代理

(上記①~④に係る、相談、和解交渉、合意契約締結等の事務を含む。)である。(社会保険労務士法2条)

7.国民健康保険法によれば、生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者は、国民健康保険の被保険者としない。

〇 (国民健康保険法6条、19条)

8.高齢者医療確保法によれば、保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、20歳以上の医療保険各法の加入者に対し、特定健康診査等を行う。

× 「20歳以上」ではなく、「40歳以上」である。(高齢者医療確保法20条)

9.介護保険法によれば、介護保険に係る一部負担金の割合については、原則として、1割負担であるが、65歳以上であって、現役並みの所得がある者は3割負担、一定以上の所得がある者は2割負担となる。

〇 なお、居宅介護サービス計画費等のいわゆるケアプラン作成に係る費用については、一部負担金は必要としない。(介護保険法40条)

10.船員保険法によれば、出産手当金の支給期間は、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において職務に服さない期間である。

× 船員法において、「船舶所有者は、妊娠中の女性を船内で使用することはできない。」と規定されており、産前休業期間については、妊娠中であれば支給日数の制限はない。(船員保険法74条1項)

【健康保険法】

1.2以上の適用事業所の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣に届け出て、当該2以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。

× 「厚生労働大臣に届け出て」ではなく、「厚生労働大臣の承認を受けて」である。(法33条)

2.全国健康保険協会管掌健康保険における夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定については、年間収入の多い方の被扶養者とすることとされており、年間収入の少ない方の被扶養者とすることはできない。

× 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とすることとされている。したがって、この要件に該当すれば、年間収入の少ない方の被扶養者とすることができる。(令和3.4.30保保発2号・保国発1号)

3.健康保険組合の組合会は、理事長が招集することとされているが、組合会議員の定数の4分の3以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して組合会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から20日以内に組合会を招集しなければならない。

× 「4分の3以上」ではなく、「3分の1以上」である。(令7条)

4.全国健康保険協会管掌健康保険に加入している事業所で、賞与の支払が同一の月に2回に分けて行われた場合、それぞれの賞与の支払日から5日以内に、健康保険被保険者賞与支払届を日本年金機構に提出しなければならない。

× 設問の場合、その合算額について、最後の賞与支給日から5日以内にまとめて提出して差し支えないこととされている。(則27条1項)

5.患者申出療養に係る申出は、厚生労働大臣の定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行うものとする。

〇 なお、「臨床研究中核病院」とは、高度に専門的な知識や経験が要求される等実施に困難を伴う治験(医薬品や医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験)等を計画・実施できる専門部門及びスタッフを有し、基盤が整備された病院をいう。(法63条第4項)

6.被保険者が故意の犯罪行為によって重症を負い、入院治療を受けた後、死亡した場合、療養の給付の対象とならないが、埋葬料の支給対象となる。

〇 死亡は絶対的自己であるため、設問のような場合であっても、埋葬料の対象となる。(法100条、昭和36.7.5保険発63号)

7.全国健康保険協会管掌健康保険においては、出産に係る当座の費用に充てるため、出産育児一時金又は家族出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金又は家族出産育児一時金の支給額の8割相当額を限度として、資金を無利子で貸し付ける出産費貸付制度が実施されている。

〇 貸付対象者は、全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者又は被扶養者の出産に係る出産育児一時金又は家族出産育児一時金の支給が見込まれる者のうち、次の①又は②に該当する者である。

① 出産予定日まで1月以内の者

② 妊娠4か月(85日)以上の者で、医療機関等に一時的な支払を要する者

(平成13.6.15庁文発1102号)

8.70歳未満の被保険者又は被扶養者が受けた療養について、高額介護合算療養費を算定する場合、同一医療機関等で同一月内の一部負担金等の額が21,000円未満のものは、その算定対象から除かれる。

〇 (法115条の2、令43条の2)

9.被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者の配偶者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった家族出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができる。

× 被扶養者に関しては、資格喪失後の出産に関する給付は行われない。死亡に関する給付についても同様である。(法106条)

10.法定給付を受けて入院している患者に対して、健康状態の回復を目的とした栄養補給金を支給することは、健康保険法の目的と合致するものであり、健康保険組合における付加給付として認められる。

× 付加給付については、健康保険法に規定する保険事故の範囲を超えての給付は認められていないため、設問のような栄養補給金の支給をしてはならないこととされている。(法53条、健康保険組合運営基準)

【厚生年金保険法】

1.報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額はその地方の時価によって、地方厚生局長又は地方厚生支局長が定める。

× 「地方厚生局長又は地方厚生支局長」ではなく、「厚生労働大臣」である。(法25条)

2.適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者である者を除く。)の資格を有する者が、保険料(初めて納付する保険料ではないものとする。)を滞納し、督促状の指定の期限までに、その保険料を納付しないときは、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意したときを除き、保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。

〇 なお、保険料を滞納し、督促状の指定の期限までに保険料を納付しない場合であっても、「事業主の同意」があるときは、被保険者の資格は喪失しない。(法附則4条の3)

3.育児休業等を終了した際に改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月から、原則として、その年の8月(当該月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

〇 (法23条の2)

4.老齢厚生年金の受給権者に対する在職老齢年金の仕組みにより当該年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として当該年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。

〇 (法39条2項)

5.第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有する者に係る老齢厚生年金について、支給繰下げの申出を行う場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰下げの申出を、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰下げの申出と同時に行う必要はない。

× 設問の場合、同時に支給繰下げの申出を行わなければならない。(法78条の28)

6.特別支給の老齢厚生年金の定額部分に相当する額と昭和36年4月1日以後の20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間に係る老齢基礎年金に相当する額に差があるときは、当該差額を老齢基礎年金に経過的に加算する。

× 「老齢基礎年金」ではなく、「老齢厚生年金」に経過的に加算する。(昭和60年法附則59条2項)

7.障害の程度が障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額は、障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額とされる。

× 「3分の2」ではなく、「4分の3」である。(法50条3項)

8.子の有する遺族厚生年金の受給権は、その子が母と再婚した夫の養子となったときは消滅する。

× 子の有する遺族厚生年金の受給権は、子が直系姻族の養子となっても消滅しない。(法63条1項)

9.老齢厚生年金の受給権者について、標準報酬の改定又は決定が行われたときは、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

〇 (法78条の10第1項)

10.3号分割は、被扶養配偶者として第3号被保険者であった者からの請求によって認められ、特定被保険者の同意を要しない。

〇 (法78条の13、78条の14)

【国民年金法】

1.国民年金法において、「保険料納付済期間」とは、第1号被保険者としての期間のうち、保険料の全額を納付した期間(督促及び滞納処分により保険料が納付された期間を含む。)並びに第2号被保険者としての被保険者期間及び第3号被保険者としての被保険者期間をいう。

× 国民年金法において、「保険料納付済期間」とは、第1号被保険者(任意加入被保険者を含む。)としての期間のうち、保険料の全額を納付した期間(督促及び滞納処分により保険料が納付された期間を含む。)及び産前産後期間の保険料免除の規定により保険料の納付を免除された期間並びに第2号被保険者としての被保険者期間及び第3号被保険者としての被保険者期間をいう。(法5条1項)

2.健康保険組合を設立する事業主は、その使用する第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者の配偶者に係る届出の経由に係る事務の一部を当該健康保険組合に委託することができる。

〇 なお、全国健康保険協会に設問の事務を委託することはできない。(法12条8項)

3.死亡一時金を受けることができる遺族は、国民年金原簿に記録された死亡した被保険者又は被保険者であった者に係る特定国民年金原簿記録が事実でない、又は国民年金原簿に死亡した被保険者又は被保険者であった者に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿記録の訂正を請求することができる。

〇 被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)であった者が死亡した場合には、当該死亡した被保険者等の特定国民年金原簿記録に基づき、未支給年金、遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金の額が決定されるため、未支給年金の支給を請求することができる者、遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子、寡婦年金を受けることができる妻又は死亡一時金を受けることができる遺族は、当該被保険者等であった者の国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。(法14条の2第2項)

4.昭和37年4月2日以後生まれの者が、63歳に達した日の属する月の翌月に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすると、当該老齢基礎年金の額は、65歳から受給する場合に比べて、9.6%減額されることになる。

× 「9.6%」ではなく、「9.2%」である。老齢基礎年金の支給繰上げに係る減額率は、「1,000分の5に支給繰上げの請求をした日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率」とされており、設問の場合、0.4%×23月=9.2%となる。(法附則9条の2第4項、令12条の2第1項)

5.傷病の初診日において20歳未満であった者(被保険者でないものとする。)が、20歳に達した日又はその後の障害認定日において、障害の程度が2級以上に該当するときは、受給権者の所得が政令で定める額以下であることを条件として、障害基礎年金の受給権が発生する。

× 20歳前の傷病による障害基礎年金の支給要件には、受給権者の所得が政令で定める額以下であることとする規定は定められていない。(法30条の4、36条の2)

6.被保険者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子が既に婚姻をしている場合には、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあっても、遺族基礎年金の受給権は発生しない。

〇 遺族基礎年金の支給要件に係る子については、「現に婚姻をしていないこと」が要件とされている。(法37条の2)

7.寡婦年金の受給権は、受給権者が65歳に達したとき、死亡したとき、婚姻をしたとき、養子となったとき(直系血族又は直系姻族の養子となったときを除く。)、又は繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したときに、消滅する。

〇 (法51条、法附則9条の2第5項)

8.学生納付特例事務法人は、その教育施設等の学生である被保険者の委託を受けて、当該被保険者に係る学生納付特例の申請に関する事務及び保険料の納付に関する事務を行うことができる。

× 学生納付特例事務法人がその教育施設の学生等である被保険者の委託を受けてすることができるのは、学生納付特例の申請に関する事務のみである。保険料の納付の事務は含まれていない。(法109条の2の2第1項)

9.厚生労働大臣は、年金給付の受給権者の誕生月において、住民基本台帳法の規定による当該受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うものとされている。

× 厚生労働大臣は、「毎月」、住民基本台帳法の規定による年金たる給付の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うものとされている。(則18条1項ほか)

10.失踪宣告があったときは、行方不明となってから5年を経過した日に死亡したものとみなされる。

× 「5年」ではなく、「7年」である。(法18条の4、民法30条)