ミニミニ本試験(最終回解答)

ミニミニ本試験(最終回解答)

 

【労働基準法】

1.法5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、このときの使用者と労働者との労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。

〇 (法5条、昭和23.3.2基発381号)

2.賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60に相当する金額をその者の平均賃金とする。

× 設問の算定方法によって算出された金額と原則どおり算出した金額を比べて高い方の金額が、その者の平均賃金となる。(法12条1項)

3.使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を定めることはできないが、労働者が不法行為を犯して使用者に損害を被らせる事態に備えて、一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定めることはできる。

× 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をしてはならない。なお、損害賠償の金額をあらかじめ約束せず、実際に生じた損害について賠償を請求することは禁止されていない。(法16条)

4.1週間の労働時間の上限は、原則として、40時間とされているが、商業、映画の製作を除く映画・演劇業、保健衛生業及び接客娯楽業の事業については、44時間とされている。

× 週の法定労働時間が44時間とされるのは、設問の事業であって、常時10人未満の労働者を使用するものに限られる。(則25条の2第1項)

5.就業規則に実労働時間を1週38時間と定めたときに、1週38時間を超え1週間の法定労働時間まで労働時間を延長する場合でも、各日の労働時間が8時間を超えない限り、36協定を締結する必要はない。

〇 (法36条1項、昭和23.4.28基発1497号)

6.使用者は、その事業場に、同時に採用され、6か月間継続勤務し、法39条所定の要件を満たした労働者X(勤務形態は、1日の所定労働時間4時間、1週間の所定労働日数5日)と労働者Y(勤務形態は、1日の所定労働時間10時間、1週間の所定労働日数3日)がいる場合、前者に対しては、後者より多くの日数の年次有給休暇を付与しなければならない。

× いわゆる比例付与の対象となるのは、「週所定労働時間数が30時間未満の者であって、かつ、週所定労働日数が4日以下」の者である。設問の労働者は、いずれもこの要件には該当しないため、両者とも同じ日数(10労働日)の年次有給休暇を付与しなければならない。(法39条1項~3項、則24条の3)

7.就業規則に添付した意見書の内容が、当該規則に全面的に反対するものであると、特定部分に関して反対するものであるとを問わず、又はその反対事由の如何を問わず、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がない。

〇 (昭和24.3.28基発373号)

【労働安全衛生法】

8.都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

〇 当該事業場の労働災害の発生率が他の同種、同規模の事業場と比べて高く、それが総括安全衛生管理者の不適切な業務執行に基づくものであると考えられる場合等に設問の勧告が行われる。(法10条3項)

9.事業者が、法59条3項の特別教育を企業外で行われる講習会等に労働者を参加させることにより行う場合には、それに要する講習会費、講習旅費等については、事業者が負担することが望ましいが、当然には事業者が負担すべきものではない。

× 特別教育を企業外で行われる講習会等に参加させることにより行う場合には、それに要する講習会費、講習旅費等については、事業主が負担すべきものとされている。(法59条3項、昭和48.3.19基発145号)

10.産業医は、長時間労働に関する面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者に対して、面接指導の申出を行うよう指導することができる。

× 「指導」ではなく、「勧奨」である。(則52条の3)

【労災保険法】

1.血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準においては、発症前の長期間(発症前おおむね3か月間をいう。)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことによる明らかに過重負荷を受けたことにより発症した脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)は、業務上の疾病として取り扱うこととされている。

× 発病前の長期間とは、「おおむね3か月間」ではなく、「おおむね6か月間」をいう。令和3.9.14基発0914第1号)

2.休業補償給付は、業務上の事由による傷病の療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に支給されるものであるから、労働契約の期間満了等により労働関係が消滅した後においても、当該傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない状態である限り、支給される。

〇 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。(法12条の5、14条1項)

3.同一の事故により、障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令で定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令で定めるところに従い繰り上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次のとおりである。

① 第6級、第10級及び第13級の3障害がある場合:第5級

② 第5級、第8級、第9級及び第12級の4障害がある場合:第3級

③ 第4級及び第5級の2障害がある場合:第1級

〇 同一の事故による身体障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級とするが、以下に掲げる場合には、重い方の障害等級をそれぞれ繰り上げた障害等級による。

① 第13級以上に該当する身体障害が2以上あるとき:1級

② 第8級以上に該当する身体障害が2以上あるとき:2級

③ 第5級以上に該当する身体障害が2以上あるとき:3級

(則14条2項、3項)

4.遺族補償年金を受ける権利を有する遺族は、その申請により、生計の維持が困難であると認められるときに限り、給付基礎日額の1,000日分に相当する額を限度として厚生労働省令で定める額の遺族補償前払一時金の支給を受けることができる。

× 遺族補償年金前払一時金の請求において、「生計の維持が困難であると認められるときに限り」とする要件は設けられていない。(法附則60条)

5.特別支給金は、もともと事業主がその使用する労働者又はその遺族に対して行う例が多かったいわゆる「上積み補償」に由来するものであるので、特別加入者には支給されない。

× 特別加入者に対しても特別支給金は支給される。ただし、いわゆるボーナス特別支給金については、特別加入者に算定基礎年額のもとになるボーナス等の特別給与というもの(概念)がないことから、特別加入者には支給されない。(特別支給金支給規則3条~19条)

6.自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業を営む中小事業主等の特別加入者については、業務災害に関して保険給付の支給を受けることができるが、通勤災害に関して保険給付の支給を受けることはできない。

× 「その住居と就業の場所との間の往復の実態が明確でないこと等」により通勤災害について労災保険の対象としないこととされているのは、第2種特別加入者(一人親方等)のうち、「個人タクシー業者、個人貨物運送業者、自転車配達員等、漁船による漁業者、特定農作業・指定農業機械作業従事者、家内労働者及びその補助者」である。(法35条1項かっこ書き、則46条の22の2)

7.介護補償給付を受ける権利の時効は、支給事由が生じた月の翌月の初日から進行する。

〇 介護補償給付は、月を単位として行うため、時効の起算日は設問のとおりとなる。(42条)

【労働保険徴収法】

8.一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託するものに該当する場合の保険関係成立届の提出先は、所轄公共職業安定所長である。

〇 (則1条1項3号)

9.継続事業の一括の認可を受けた事業主は、指定を受けた事業以外の事業の名称又は事業の行われる場所に変更があったときは、当該変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、継続被一括事業名称・所在地変更届を指定を受けた事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

× 「変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に」ではなく、「遅滞なく」である。(則10条4項)

10.一般保険料の算定の基礎となる賃金総額とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいうが、通貨以外のもので支われる賃金であって厚生労働省令で定める範囲内のもの及び臨時に支払われる賃金は除外される。

× 通貨以外のもので支払われる賃金であって厚生労働省令で定める範囲内のもの及び臨時に支払われる賃金についても一般保険料の算定の基礎となる賃金総額に含まれる。(法2条2項、11条1項)

【雇用保険法】

1.適用区域外の地域に居住する日雇労働者が、適用区域内にある適用事業に雇用される場合、管轄公共職業安定所長に任意加入の申請をして認可を受ければ、日雇労働被保険者となる。

× 適用区域内にある適用事業に雇用される場合には、当然に日雇労働被保険者となる。(法43条1項2号)

2.事業主が、その雇用する被保険者を当該事業主の一の事業所から他の事業所に転勤させたため雇用保険被保険者転勤届を転勤後の所轄公共職業安定所長に提出する場合、その者から提出を受けた雇用保険被保険者証を添付する必要はない。

〇 雇用保険被保険者転勤届の提出に当たって、雇用保険被保険者証の添付は不要である。(法7条、則13条1項、2項)

3.被保険者期間の計算に係る「賃金支払基礎日数」とは、現実に労働した日数のことをいい、労働基準法26条の規定に基づく休業手当支払の対象となった日については、これに算入しない。

× 被保険者期間の計算に係る「賃金支払基礎日数」とは、一般的には現実に労働した日数のことをいうが、休業手当支払の対象となった日及び年次有給休暇の取得日についても、これに算入しなければならないこととされている。なお、月給者についての賃金支払基礎日数は、月間全部を拘束する意味の月給制であれば、30日(28日、29日、31日)であり、月給者が欠勤して給与を差し引かれた場合(日給月給者の場合)は、その控除後の賃金に対応する日数が賃金支払基礎日数となる。(行政手引21454)

4.高年齢求職者給付金の受給要件を満たした者が、その受給前に再就職した場合には、その後、当初の離職の日の翌日から起算して1年以内に再離職したとしても、元の高年齢受給資格に基づいて高年齢求職者給付金の支給を受けることはできない。

× 設問の場合、元の高年齢受給資格に基づいて高年齢求職者給付金の支給を受けることができる。(法37条の3第2項)

5.就業促進定着手当の額は、算定基礎賃金日額からみなし賃金日額を減じて得た額に同一事業主の適用事業にその職業に就いた日から引き続いて雇用された6か月間のうち賃金の支払の基礎となった日数を乗じて得た額とする。ただし、基本手当日額に支給残日数に相当する日数に10分の4(早期再就職者にあっては、10分の3)を乗じて得た数を乗じて得た額を限度とする。

〇 なお、受給資格者は、就業促進定着手当の支給を受けようとするときは、その職業に就いた日から起算して6か月目に当たる日の翌日から起算して2か月以内に、就業促進定着手当支給申請書に所定の書類及び受給資格者証を添えて、管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(法56条の3第3項、則83条の3)

6.6か月の期間を定めて雇用される被保険者は、その養育する子が1歳6か月を超えて引き続き雇用の継続が見込まれる場合であっても、育児休業給付金を受給することはできない。

× 設問の期間雇用者については、育児休業給付金を受給することができる。(法61条の4第1項、61条の5第1項、則101条の11第1項)

7.介護休業給付金に係る休業開始時賃金日額の最高限度額は、被保険者の年齢に関係なく、45歳以上60歳未満の賃金日額の上限額を用いる。

〇 なお、育児休業給付金に係る休業開始時賃金日額の最高限度額は、被保険者の年齢に関係なく、30歳以上45歳未満の賃金日額の上限額を用いる。(法61条の6第4項)

【労働保険徴収法】

8.継続事業のメリット制は、その適用を受けることができる事業であって、連続する3保険年度の最後の保険年度の末日において保険関係の成立後3年以上経過したものについて、その連続する3保険年度の間におけるいわゆるメリット収支率を基礎として適用される。

〇 継続事業のメリット制の適用対象となるためには、設問の事業の継続性要件を満たす必要がある。(法12条3項)

9.所定の期限までに概算保険料申告書を提出しなかった事業主が、所轄都道府県労働局歳入徴収官より納付すべき概算保険料の通知を受けたときは、当該事業主は、その通知された保険料額に100分の10を乗じて得た額の追徴金を加えて、通知を受けた日の翌日から起算して15日以内に納付しなければならない。

× 概算保険料の認定決定については、追徴金は徴収されない。(法15条3項、4項、21条)

10.工事の全期間が1年間である有期事業に係る保険関係が6月8日に成立した場合で延納の要件を満たすときの概算保険料の納期限は、最初の期分が6月28日までであり、以後、12月1日から翌年3月31日までの期分が翌年1月31日まで、その次の期分は翌年3月31日までとなる。

〇 有期事業において保険関係が成立した場合は、その成立の日から11月30日までを最初の期とし、その納期限は、保険関係成立日の翌日から起算して20日以内(6月28日)となる。また、第2の期分、第3の期分の納期限は、翌年1月31日、3月31日となる。(法18条、則28条)

【労働一般】

1.労働契約法2条2項に定義されている「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうが、これは、労働基準法10条に定義されている「使用者」と同義である。

× 労働契約法2条2項に定義する「使用者」は、労働基準法10条の「事業主」に相当するものであり、同条の「使用者」より狭い概念である。(労働契約法2条2項、平成24.8.10基発0810第2号)

2.短時間・有期雇用労働法によれば、事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びにその待遇の決定に当たって考慮した一定の事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。

〇 (短時間・有期雇用労働法14条2項)

3.男女雇用機会均等法において、女性のみを対象とした措置や女性を有利に取り扱う措置については、原則として禁止されており、管理職に就いている女性比率が現状で10%である企業において、その比率を高めるために、管理職に必要とされる能力を付与するための教育訓練を女性のみに行うことは、同法に違反する。

× 設問の女性に対する特例措置は、その役職に占める女性労働者の数が「4割」を下回る程度に少ない事業場で、過去の女性労働者に対する取扱い等により、男性労働者と女性労働者との間に生じている格差を改善するために、暫定的・一時的に講ずることが許されている。(男女雇用機会均等法8条、平成28.8.2厚労告314号)

4.育児・介護休業法によれば、事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(子の看護休暇、介護休暇及び労働基準法39条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含む。)を与えるための措置を講じなければならない。

× 「講じなければならない」ではなく、「講ずるように努めなければならない」である。設問のいわゆる「育児目的休暇」については、事業主の努力義務とされている。(育児・介護休業法24条1項)

5.賃金支払確保法によれば、未払賃金の立替払事業により立替払いされる賃金は、原則として、未払賃金総額に100分の80を乗じて得た額であるが、当該未払賃金総額については退職労働者(基準退職日)の年齢によって限度額が設けられており、その限度額は、「30歳未満」である者については110万円、「30歳以上45歳未満」である者については220万円、「45歳以上」である者については330万円とされている。

× 「45歳以上」である者については370万円とされている。(賃金の支払の確保等に関する法律令4条)

【社会一般】

6.児童手当法において、「児童」とは、15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の厚生労働省令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう。

× 「児童」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の厚生労働省令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう。(児童手当法3条1項)

7.確定給付企業年金法によれば、事業主は、給付に関する事業に要する費用に充てるため、規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出しなければならない。

〇 なお、加入者は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、掛金の一部を負担することができる。(確定給付企業年金法55条1項)

8.確定拠出年金法によれば、確定拠出年金における給付の種類は、老齢給付金、障害給付金及び遺族給付金である。

× 「遺族給付金」ではなく、「死亡一時金」である。また、経過措置として、脱退一時金がある。(確定拠出年金法28条、73条、法附則2条の2、3条)

9.社会保険審査官及び社会保険審査会法によれば、社会保険審査会は、厚生労働大臣の所轄の下に置かれ、委員長及び委員5人をもって組織される。

〇 (社会保険審査官及び社会保険審査会法19条、21条)

10.国民年金法は、昭和34年に制定され、同年11月から無拠出制年金(全額国庫負担による老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金等)の支給を開始した。

〇 その後、昭和36年4月より拠出制年金制度が実施され、国民皆年金となった。(国民年金法附則1条ほか)

【健康保険法】

1.労働者派遣事業の事業所に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者(登録型派遣労働者)の適用については、派遣就業に係る一の雇用契約の終了後、最大1月以内に同一の派遣元事業主のもとで派遣就業に係る次回の雇用契約(1月以上のものに限る。)が確実に見込まれるときは、使用関係が継続しているものとして取り扱い、被保険者資格を喪失させないこととして差し支えないこととされている。

〇 (平成14.4.24庁保険発24号・保保発424001号)

2.健康保険の被扶養者から外れる手続きについては、被保険者からの届出に基づいて行われるところであるが、被保険者である夫からの暴力を受けた妻が被扶養者から外れるに当たっては、当該被保険者である夫から届出がなされなくとも、被害者である妻から、一定の証明書を添付して被扶養者から外れる旨の申出がなされた場合には、被扶養者から外れることができる。

〇 (平成20.2.5保保発0205003号)

3.70歳以上の被保険者について、随時改定により標準報酬月額が変更になり、一部負担金の負担割合が変更する場合、負担割合が変更になるのは、改定後の標準報酬月額が適用される月の翌月からである。

× 随時改定により標準報酬月額が変更になり、一部負担金の負担割合が変更する場合、負担割合が変更になるのは、改定後の標準報酬月額が適用される月からである。(法74条1項3号、令34条1項)

4.被保険者が単に経済的理由により人工妊娠中絶を受けた場合は、療養の給付の対象とならない。

〇 異常分娩のために行われた医師の処置手術等の治療に関する費用は、療養の給付の対象となるが、設問の場合は、療養の給付の対象とならない。なお、この場合であっても、出産育児一時金は支給される。(昭和27.9.29保発56号)

5.あんま、はり、きゅうに係る健康保険の初回の療養費支給申請については、緊急その他やむを得ない場合を除いては、医師の同意書又は診断書を添付する必要がある。

〇 (法87条1項、昭和61.4.21保険発37号)

6.被扶養者が保険医療機関に入院した場合の食事療養については、被保険者に対して、家族療養費が支給される。

〇 被扶養者が保険医療機関に入院した場合の食事療養については、入院時食事療養費ではなく、家族療養費が支給される。(法110条2項)

7.労災保険から休業補償給付を受けている期間中に業務災害以外の病気を併発し、労務不能となった場合、傷病手当金の額が休業補償給付の額を上回っているときは、休業補償給付に加えて、その差額が傷病手当金として支給される。

〇 (昭和33.7.8保険発95号)

8.出産育児一時金及び家族出産育児一時金(以下「出産育児一時金等」という。)の「直接支払制度」とは、被保険者が病院、診療所又は助産所(以下「医療機関等」という。)との間に、出産育児一時金等の支給申請及び受取に係る代理契約を締結し、出産育児一時金等の額を限度として、医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金等の支給申請及び受取を行うことをいう。

〇 医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金等の支給申請及び受取を直接保険者と行うことにより、被保険者があらかじめまとまった現金を容易した上で医療機関等の窓口において出産費用を支払う経済的な負担の軽減を図るものである。(平成23.1.31保発0131第2号)

9.資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けるには、被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)である必要があり、この場合の「引き続き」とは、必ずしも同一の保険者でなくともよく、また、資格の得喪があっても法律上の被保険者としての資格が連続していればよいこととされている。

〇 (法104条)

10.業務上の傷病として労働基準監督署に認定を申請中の未決定期間は、一応業務上の取扱いをし、最終的に業務上の傷病でないと認定され、健康保険による業務災害以外と認定された場合には、さかのぼって療養費、傷病手当金等の給付が行われる。

〇 (昭和28.4.9保文発2014号)

【厚生年金保険法】

1.適用事業所以外の事業所で臨時に使用される70歳未満の者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であって日々雇い入れられる者は、その者が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合には、事業主の同意を得た上で厚生労働大臣の認可を受けて、任意単独被保険者となることができる。

〇 適用除外に該当する者は、任意単独被保険者となることはできないが、適用除外に該当しなくなれば、事業主の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受けることにより任意単独被保険者となることができる。(法10条、12条)

2.第1号厚生年金被保険者である者が同時に第4号厚生年金被保険者の資格を有することとなった場合、2以上事業所勤務届を、選択する年金事務所又は日本私立学校振興・共済事業団に届け出なければならない。

× 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失することとされている。(法18条の2)

3.実施機関は、障害厚生年金の受給権者が、重大な過失により、その障害の程度を増進させたときは、当該障害厚生年金の額の一部につき、その支給を停止し、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、当該障害厚生年金の額の改定を行うことができる。

× 障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、年金額の改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、年金額の改定を行うことができることとされている。(法74条)

4.2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に、一方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金と他方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金の受給権の発生日が異なる場合であって、加給年金額の加算を受けることができるときは、いずれか遅い日において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができる。

× 「いずれか遅い日」ではなく、「いずれか早い日」である。(法78条の27、令3条の13)

5.子の加算額が加算された障害基礎年金の支給を受けている者に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合、当該老齢厚生年金については、当該子に係る加給年金額に相当する部分の支給が停止される。

〇 (法44条1項)

6.障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から障害等級の1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)に、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅する。

× 当初から障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者に、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合であっても、併合認定は行われない。(法48条1項)

7.障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、死亡した者の障害等級にかかわりなく、その者の遺族に遺族厚生年金が支給される。

× 遺族厚生年金が支給されるのは、障害等級の1級又は2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときである。(法58条1項3号)

8.脱退一時金の額は、被保険者であった期間に応じて、原則として、その期間の平均標準報酬額に支給率を乗じて得た額とされているが、当該平均標準報酬額については再評価は行われない。

〇 (法附則29条3項)

9.平成21年4月1日前の第3号被保険者期間については、3号分割の対象とならない。

× 「平成21年4月1日前」ではなく、「平成20年4月1日前」である。(平成16年法附則49条)

10.厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内の期日に納付されるべき保険料について、納期を繰り上げてしたものとみなすことができるが、その場合にはその旨を当該納付義務者に通知しなければならない。

× 「1年以内」ではなく、「6か月以内」である。(法83条2項、3項)

【国民年金法】

1.国民年金法において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を含むものとされているが、離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が所定の要件に該当すれば、これを「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として認定することとしている。

〇 (法5条7項、平成23.3.23年発0323第1号)

2.第3号被保険者又は第3号被保険者であった者は、第3号被保険者期間のうち、届出の遅滞により保険料納付済期間に算入されない平成17年4月1日以後の期間について、その届出の遅滞がやむを得ないと認められるときは、厚生労働大臣にその旨の届出をすることができる。

〇 (法附則7条の3第2項、平成16年法附則20条)

3.政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡が保つことができないと見込まれる場合には、すべての年金たる給付の額(以下「給付額」という。)調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間の開始年度を定めるものとされている。

× 「すべての年金たる給付の額」ではなく、「年金たる給付(付加年金を除く。)の額」である。付加年金については、いわゆるマクロ経済スライドの規定は適用されない。(法16条の2第1項)

4.老齢基礎年金の年金額の計算において、保険料全額免除期間(学生の保険料納付特例期間及び保険料納付猶予期間を除く。)の月数の2分の1に相当する月数がその計算の基礎に算入されるのは、480月から保険料納付済月数、保険料4分の1免除月数、保険料半額免除月数及び保険料4分の3免除月数を控除した月数を限度とする。なお、国庫負担の経過措置については、考慮しなくてよい。

〇 (法27条8号、平成16年法附則9条1項)

5.振替加算の額は、224,700円に改定率を乗じて得た額に、振替加算の対象者の配偶者である「老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者の生年月日」に応じて定められた率を乗じて得た額である。

× 「老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者である配偶者の生年月日」ではなく、「老齢基礎年金の受給権者の生年月日」である。(昭和60年法附則14条1項、昭和61年経過措置令24条)

6.事後重症による障害基礎年金は、同一の傷病による障害について旧法の障害年金を有していたことがある者についても、支給される。

× 事後重症による障害基礎年金は、同一の傷病による障害について旧法の障害年金を有していたことがある者については、支給されない。(昭和60年法附則22条)

7.遺族基礎年金の支給に当たり、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた配偶者又は子であって、年額850万円以上の収入又は年額655万5千円以上の所得を将来にわたって得られないと認められる者は、当該被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められる。

〇 (法37条の2第3項、令6条の4)

8.脱退一時金は、最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときには、請求することができない。

〇 (法附則9条の3の2第1項3号)

9.保険料納付確認団体は、当該団体の構成員その他これに類する者である被保険者からの委託により、当該被保険者に係る保険料が納期限までに納付されていない事実の有無について確認し、その結果を当該被保険者に通知する業務を行うものとされている。

〇 なお、厚生労働大臣は、保険料納付確認団体の求めに応じ、保険料納付確認団体が設問の業務を適正に行うために必要な限度において、保険料滞納事実に関する情報を提供することができることとされている。(法109条の3第2項)

10.付加保険料については、任意に申出を行い納付するものであるため、納期限までに保険料を納付しなかった場合は、その納期限の日に付加保険料の納付を辞退したものとみなされる。

× 付加保険料についても、通常の保険料と同様に、時効で徴収権が消滅する過去2年分まで納付することができる。(法87条の2第4項)

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