ステイホームワーク第21回(解答)

労働者災害補償保険法
●療養補償給付
問201 療養の給付の範囲は、①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送であり、具体的に必要とされるものの範囲は、当該傷病に係るこれらの病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者の判断に委ねられる。
答201 × 療養の給付の範囲は、「政府が必要と認めるもの」に限られており、病院等の判断に委ねられているわけではない。(法13条2項)
【コメント】
問題文のとおりだと、病院等が好き勝手に保険を使ってしまう(必要以上の治療を行って儲けようとする)からですね。

問202 療養補償給付は、療養の給付として行われるのが原則であるが、療養の給付を行うことが困難である場合のほか、労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。
答202 × 療養の費用の支給は、「療養の給付をすることが困難な場合」のほか、「療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合」に療養の給付に代えて行われる。単に労働者の希望というだけでは認められない。なお、「療養の給付をすることが困難な場合」とは、その地区に指定病院等がない場合や、あっても特殊な医療技術や診療施設の設備がなされていない場合等、政府側の事情において療養の給付を行うことが困難な場合をいい、「療養の給付を受けないことについて相当の理由がある場合」とは、緊急な療養を必要とし、かつ、最寄りの病院、診療所等が指定病院等でない等、労働者側に事情がある場合をいう。(法13条、則11条の2)
【コメント】
私も「現金」の方が大好きですが、療養の費用の支給は、あくまでも例外です。

問203 業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の発病でない限り、業務上の疾病とは認められないため、再び療養補償給付を受けることはできない。
答203 × 業務上の傷病が再発した場合には、業務上の疾病として再び療養補償給付を受けることができる。(法7条1項1号、昭和23.1.9基災発13号)
【コメント】
問題文のとおりだと、「なんでやねん」ですね。

問204 療養の給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を、当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないが、療養の費用の支給を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
答204 〇 (則12条、12条の2)
【コメント】
定番の比較論点です。療養の給付は指定病院等、療養の費用の支給は指定病院等以外、ここをしっかり区別しておきましょう。

問205 骨折、捻挫の部位が治ゆしたが神経症状を残している場合において、医師が診断により温泉療養の必要を認め、医師の直接の指導の下に温泉療養が行われるときは、療養補償給付の対象となる。
答205 × 療養補償給付は、治ゆ前の保険給付であり、設問のような治ゆ後における温泉療養などのいわゆる外科後処置については、対象とならない。(昭和25.10.6基発916号)
【コメント】
「療養=治療=治っていない」ですね。

●休業補償給付
問206 休業補償給付は、業務上の事由による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給されるが、労働することができない日であっても、平均賃金の60%以上の金額が支払われた日は、待期期間3日の日数には算入されない。
答206 × 待期期間について使用者が平均賃金の60%以上の金額を支払った場合には、使用者による労働基準法76条の休業補償が行われたものとして取り扱う。休業補償については賃金に該当しないため、設問の場合であっても待期期間の3日の日数に算入されることとなる。(法14条、昭和24.2.16基収275号)
【コメント】
3日間について「有給休暇」で処理された場合も同様です。とにかく、待期期間は「労務不能」であればよいということです。

問207 業務上の負傷が治ゆしても重い障害が残ったため、義肢の装着に必要な手術、術後のリハビリテーション等を受けて労働することができないために賃金を受けない場合は、療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に該当しないので、休業補償給付は支給されない。
答207 〇 治ゆした後に行う義肢の装着は療養の範囲に属するものではないから、たとえ義肢装着のため診療所に入所しても、その入所期間中の休業に対して休業補償給付は支給されない。(法14条1項、昭和24.12.15基収3535号)
【コメント】
ポイントは、「治ゆ」という言葉を見逃さないことですね。

問208 労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため、所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(最高限度額を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、適用がないものとした場合における給付基礎日額)から、当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が、最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。
答208 〇 (法14条1項ただし書)
【コメント】
たびたび問われている「一部労働」の場合の休業補償給付の規定(条文)です。括弧書きを含めて正確に押さえておきましょう!

問209 休業補償給付に係る最初の休業日の扱いについては、その日の所定労働時間内に業務災害が発生した場合は、当日を休業日として待期期間に算入し、所定労働時間外に業務災害が発生した場合は、当日を休業日としないこととされている。
答209 〇 所定労働時間中に負傷した場合のみ、負傷当日を休業日数に算入し、所定労働時間外(いわゆる残業中)に負傷した場合は、負傷当日は休業日数に算入しないこととされている。(昭和27.8.8基収3208号)
【コメント】
健康保険法の傷病手当金との比較論点です。傷病手当金の場合は、仕事中か仕事終了後で分かれます。

問210 労働者が刑事施設等に拘禁されている場合(厚生労働省令で定める場合に限る。)は、休業補償給付は支給されず、その日は待期期間にも算入されない。
答210 〇 なお、設問の刑事施設等に拘禁されている場合に支給されないのは、保険給付の中では休業補償給付又は休業給付のみである。(傷病補償年金又は傷病年金は支給される。)(法14条の2、則12条の4)
【コメント】
所詮、働きに出ようと思っても働けない(出れない)からですね。なお、問題文の括弧書きは、具体的には「有罪確定等の場合に限る」です。(未決拘留中は、支給されます。)