ステイホームワーク第20回(解答)

労働者災害補償保険法
●給付基礎日額
問191 休業補償給付又は休業給付に係る給付基礎日額については、休業を開始した日から起算して1年6か月を経過した日から、年齢階層別の最低・最高限度額が適用される。
答191 × 「休業を開始した日から起算して」ではなく、「療養を開始した日から起算して」である。(法8条の2第2項)
【コメント】
引っ掛け問題ですね。療養開始日から1年6か月を経過すると、傷病(補償)年金に切り替わる人がいるため(年金は、最初から年齢階層別の最低・最高限度額が適用されるため)、それとのバランスをとるということです。

問192 最高裁判所の判例によれば、いわゆる複数就業者に係る給付基礎日額は、給付支給事由の発生した事業場の使用者から被災労働者に支払われた賃金に基づいて算出されれば足り、別個の使用者から得ていた賃金はこれに算入しない、とされている。
答192 〇 (最判昭和61.12.16「凸版城北印刷事件」)
【コメント】
いわゆる複数就業者についてのお話ですが、「稼ぎの多い方での事故か、少ない方での事故か」によって、補償額が変わるのは何だか違和感がありますね。働き方改革で「副業・兼業」を推奨しているので、論点はそれなりに高いと思います。

問193 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
答193 × 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。(法8条の5)
【コメント】
数ある端数処理のキング・オブ・キングスです。端数処理は「四捨五入」が最も多く、次いで「切捨て」ですが、「切上げ」はめったにお目にかからない貴重品です。

問194 厚生労働大臣は、年度の平均給与額が前年度の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の7月1日以後の自動変更対象額(給付基礎日額の最低保障額)を変更するものとされている。
答194 × 「7月1日以後」ではなく、「8月1日以後」である。 (則9条2項)
【コメント】
労災保険と雇用保険の自動変更対象額は、「8月1日=ハッチーニューイヤー」です。

問195 中小事業主等の特別加入者の給付基礎日額については、最低3,500円から最高25,000円の範囲(16段階)で、都道府県労働局長が特別加入をしようとする事業主等の希望に基づいて定める。
答195 〇 (則46条の20第1項)
【コメント】
「産交(35)バスで日光(25)へ、いろいろ(16)プランがありますよ」です。

問196 特別加入者が、特別加入した保険関係に基づき障害補償年金を受ける場合、当該年金に係る給付基礎日額についても、年齢階層別の最低・最高限度額が適用される。
答196 × 特別加入者に係る給付基礎日額は、最低3,500円(家内労働者等については、2,000円)から最高25,000円までのうちで、その者が希望する額に基づいて都道府県労働局長が決定するものとされており、あらかじめ、給付基礎日額に最低・最高限度額が設けられているため、年齢階層別の最低・最高限度額の適用はない。(則46条の20第2項、3項)
【コメント】
労働者の場合は、人によって賃金に「高い、低い」の極端な差があるため、給付基礎日額に年齢階層別の最低・最高限度額を設けています。

問197 給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とされているが、この場合において、同条1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害若しくは死亡の原因である事故の発生した日とされる。
答197 × 平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務上の事由又は通勤による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって業務上の事由又は通勤による疾病の発生が確定した日である。(法8条1項)
【コメント】
「負傷と死亡」は事故発生日、「疾病」は診断確定日と2つに分かれるところがポイントです。

問198 令和元年7月分として支給される遺族補償年金に係る給付基礎日額の年齢階層別の最低・最高限度額は、当該年金を支給すべき事由に係る労働者の死亡がなかったものとして計算した場合に得られる当該労働者の同年8月1日における年齢に基づいて適用される。
答198 × 「同年8月1日」ではなく、「前年8月1日」である。年金たる保険給付を受ける労働者の毎年8月1日ごとの年齢(遺族(補償)年金を支給すべき場合にあっては、当該支給すべき事由に係る労働者の死亡がなかったものとして計算した死亡者の年齢)を、同日から1年間の年齢として、これを年齢階層にあてはめることとされている。(法8条の3第2項)
【コメント】
引っ掛け問題ですが、落ち着いて読めば、未だその年の8月は来ていない時点の給付ですね。

問199 障害補償一時金若しくは遺族補償一時金又は障害一時金若しくは遺族一時金の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドは、年金給付基礎日額のスライド制の規定に準じて行う。
答199 〇 なお、一時金の給付基礎日額には、年齢階層別の最低・最高限度額の規定は準用されていない。(法8条の4)
【コメント】
給付基礎日額の比較論点(休業・年金・一時金)は、しっかり整理しておきましょう。

問200 休業補償給付又は休業給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、四半期ごとの毎月勤労統計における労働者1人当たり平均給与額が100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合には、その上昇し、又は低下した四半期の翌四半期から、その上昇し、又は低下した比率を乗じてスライドされた額となる。
答200 × 休業給付基礎日額に係るスライド制の適用は、四半期ごとの平均給与額が10%を超えて変動した四半期の翌々四半期からとなる。(法8条の2第1項2号)
【コメント】
「給付基礎日額、よくよく見てね」と昔は言われていましたが、最近は、このパターンの問題を見かけません。というか、給付基礎日額の問題を見かけなくなりました。どこか旅に出かけたのか、過去10年でたったの1肢しか出題されていません。(労災保険の寅さんですが、油断は禁物です。)