ステイホームワーク第19回(解答)

労働者災害補償保険法
●通勤災害
問181 労働者が、事業主の出張命令に従って、出張当日に自宅から出張先へ向かう途中の交通事故による災害は、通勤災害として取り扱われない。
答181 〇 出張命令によって自宅から直接用務地に向かう途中の事故は、業務災害とされる。(昭和24.12.15基収3001号)
【コメント】
直行・直帰の出張の場合は、家を出たところから家に帰って来るところまで、食事や宿泊など生活時間も含めて「業務」扱いとなります

問182 所定の勤務を終えてバスで帰宅する際、親しい同僚と一緒になった労働者が、会社の隣の喫茶店に寄ってコーヒーを飲みながら雑談し、1時間程度過ごした後、同僚の乗用車で自宅まで送られ、車を降りようとした際に、乗用車に追突され負傷した。本件は、通勤災害ではない。
答182 〇 被災労働者が喫茶店に立ち寄って過ごした行為は、逸脱・中断の例外とされる「日常生活上必要な行為」に該当せず、逸脱・中断後の災害は通勤災害とはならない。(昭和49.11.15基収1867号)
【コメント】
「日常生活上必要な行為」に該当するか否かがポイントですね。

問183 労働者が、自宅から勤務場所へ向かう途中に、選挙権の行使のために近くの投票所に立ち寄った場合、投票所において被った災害は、通勤災害として取り扱われない。
答183 〇 「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」として、逸脱・中断の例外に該当する場合であっても、通勤として認められるのは「合理的な経路に復した後」に限られる。(法7条)
【コメント】
「逸脱・中断中」は、いかなる場合であっても「通勤」には該当しません

問184 労働者が、交通ストライキのため、通勤先の近くの旅館に宿泊し、翌朝そこから通勤先へ向かう途中の交通事故による災害は、通勤災害として取り扱われない。
答184 × 交通ストライキ等の交通事情や台風などの自然現象その他のやむを得ない事由で一時的に通常の住居以外の場所に宿泊する場合は、就業のため一時的に住居を移しているものとして、当該場所が「住居」と認められる。(昭和48.11.22基発644号)
【コメント】
「宿泊の目的が仕事のため」であることがポイントですね。

問185 所定の勤務を終えてタイムレコーダーを打刻した後、会社内の2階更衣室で着替えをしてから階段を歩いて降りていたところ、ズボンの裾が靴にからんだため足を滑らし、階段の5~6段目より落ちて負傷した。本件は、通勤災害である。
答185 × 本件は、災害発生場所が未だ事業主の支配管理下にある事業場内であるため、業務災害として取り扱われる。(昭和49.4.9基収314号)
【コメント】
仕事が終わった後でも「事業場施設起因」の事故であれば、業務災害となります。

●業務上又は通勤による疾病
問186 業務に関連する疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2の各号に掲げられている疾病のいずれにも該当しないものは、業務上の疾病とは認められない。
答186 〇 なお、同別表に規定されている最後(第11号)の疾病は、「その他業務に起因することの明らかな疾病」とされており、この規定により、同別表に具体的に記載されていない疾病についても業務上の疾病に含まれることとなる。(法7条1項1号、労働基準法施行規則別表第1の2)
【コメント】
解説にあるお話を知っていないと、「そんなバナナ」になってしまうところです。

問187 「心理的負荷による精神障害の認定基準(平成23.12.26基発1226第1号)」によれば、次のいずれの要件も満たす場合に、業務上の疾病として取り扱うこととしている。
① 対象疾病を発病していること。
② 対象疾病の発病前おおむね3か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。
答187 × 設問中の②については、「対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。」である。(平成23.12.26基発1226第1号)
【コメント】
この数字(6か月)は、選択式も意識してください。

問188 「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準(平成13.12.12基発1063号)」によれば、業務による明らかな過重負荷を「異常な出来事」、「短期間の過重業務」及び「長期間の過重業務」に区分し、その認定要件としているが、「異常な出来事」については発症直前から前日までの間を、「短期間の過重業務」については発症前おおむね1週間を、「長期間の過重業務」については発症前おおむね1年間を評価期間としている。
答188 × 設問中の「長期間の過重業務」については発症前おおむね6か月間を評価期間としている。(平成13.12.12基発1063号)
【コメント】
「長(兵)六餅」ですね。この数字(6か月)も大切です。

問189 業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない。
答189 × 「再発」については、もともとの原因である業務上の疾病の連続であって、独立した別個の業務上の疾病ではないので、引き続き療養補償給付等が行われる。(昭和23.1.9基災発13号)
【コメント】
「再発」とは、治ったかにみえたが治っていなかったことをいうからですね。

問190 通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める疾病をいう。
答190 × 通勤による疾病とは、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」である。通勤途上で生じた疾病が必ずしも該当するとは限らない。(法22条、則18条の4)
【コメント】
「通勤による疾病」の定義は、丸暗記しておきましょう。ポイントは、「キーン(起因)、キーン(起因)ツーキーン」と「起因」が2回出てくるところです。