ステイホームワーク第2回(解答)

労働基準法
●平均賃金
問11 賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば7月31日に算定事由が発生したときは、同日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。
答11 × 平均賃金の算定期間については、賃金締切日がある場合、算定事由発生日(設問の場合、7月31日)の直前の賃金締切日から起算する。したがって、設問の場合、直前の賃金締切日である6月30日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。(法12条2項)
【コメント】
算定事由発生日の「直前」の賃金締切日から起算するところがポイントですね。

問12 平均賃金の算定期間中に「業務上の傷病による療養のための休業期間」がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、平均賃金の算定期間及びその算定期間中の賃金の総額から控除する。
答12 〇 以下の期間中の日数及び賃金は、平均賃金の算定期間及びその算定期間中の賃金の総額から控除しなければならない。
① 業務上の傷病による休業のための休業期間
② 産前産後の休業期間
③ 育児・介護休業期間
④ 使用者の責に帰すべき事由による休業期間
⑤ 試みの使用期間
(法12条3項)
【コメント】
「ぎょう(業)さん(産)飼(使)育(育)開(介)始(試)する」は、昔からの定番論点です。

問13 年俸制における平均賃金の算定については、年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合には、賞与部分を除いた年俸額の12分の1を1箇月の賃金として平均賃金を算定する。
答13 × 年俸制における平均賃金の算定については、年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合には、賞与部分を含めた年俸額の12分の1を1箇月の賃金として平均賃金を算定する。(法12条1項、平成12.3.8基収78号)
【コメント】
労働基準法上のボーナスの概念は、「多いか少ないか、あるかないか、ドキドキしながら貰うもの=不確定のもの」ということになっています。

問14 平均賃金の算定に当たり、家族手当、通勤手当及び住宅手当は算入しない。
答14 × 設問の手当は、算入しなければならない。なお、平均賃金の算定に当たり、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しないこととされている。(法12条4項)
【コメント】
割増賃金の算定基礎としないもの「勝(家族手当)つ(通勤手当)べ(別居手当)し(子女教育手当)リ(臨時に支払われた賃金)ーチ一(1か月を超える期間ごとに支払われる賃金)発マイホーム(注宅手当)」とのひっかけ問題ですね。

問15 雇入れ後3か月に満たない者について平均賃金を算定する場合は、賃金締切日の有無にかかわらず、その事由の発生の日から計算を行う。
答15 × 雇入れ後3か月に満たない者について平均賃金を算定する場合は、賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から起算する。ただし、直前の賃金締切日より計算すると、未だ一賃金算定期間(1か月を下らない期間)に満たなくなる場合には、事由の発生の日から計算を行うこととする。(法12条6項、昭和27.4.21基収1371号)
【コメント】
平均賃金は、「I LOVE 賃金締切日」です。

●賃金の支払
問16 派遣中の労働者の賃金を派遣先の使用者を通じて支払うことについては、派遣先の使用者が、派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すことだけであれば、直接払の原則には違反しないものである。
問16 〇 なお、法24条1項は、労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものであるから、労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは、いずれも本条違反となり、労働者が第三者に賃金受領権を与えようとする委任、代理等の法律行為は無効である。ただし、使者に対して賃金を支払うことは差し支えない。(法24条1項、昭和61.6.6基発333号)
【コメント】
試験対策上の「賃金の直接払い」の例外は、設問の場合と「使者払い」です。

問17 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賞与及び退職金の支払について、口座振込みによることができるほか、いわゆる銀行振出小切手、銀行支払小切手、普通為替等を交付する方法によることができる。
問17 × いわゆる銀行振出小切手、銀行支払小切手、普通為替等を交付する方法によることができるのは、退職手当の支払に限られる。(法24条1項、則7条の2第1項)
【コメント】
退職手当は桁違いの金額になることがある(お財布に入らない)からですね。

問18 労働協約の定めによって通貨以外のもので支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる。
答18 〇 (法24条1項、昭和63.3.14基発150号)
【コメント】
結果として、現物給与の支給対象者は、原則として、労働組合の組合員に限られることになります。

問19 法24条1項の賃金全額払の原則は、労働者が退職に際し自ら賃金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、その意思表示の効力を否定する趣旨のものと解することができ、それが自由な意思に基づくものであることが明確であっても、賃金債権の放棄の意思表示は無効である、とするのが最高裁判所の判例である。
答19 × 設問の場合、労働者の自由な意思に基づくものであることが明確であるときは、賃金債権の放棄の意思表示は有効であるとするのが最高裁判所の判例である。(最判昭和48.1.19「シンガー・ソーイング・メシーン事件」)
【コメント】
この判例のキーワード(選択式の対象ともなる言葉)は、フリーストーン(自由な意思)です。

問20 賞与を支給日に在籍している者に対してのみ支給する旨のいわゆる賞与支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は無効であり、支給日の直前に退職した労働者に賞与を支給しないことは、賃金全額払の原則を定めた法24条1項に違反する、とするのが最高裁判所の判例である。
答20 × 設問の場合、賞与をその支給日現在の在籍者のみに支給する旨の慣行を明文化した就業規則は有効であるとするのが最高裁判所の判例である。(最判昭和57.10.7「大和銀行事件」)
【コメント】
択一式の判例問題のほとんどの論点は、「結論」にあります。(ハンケツです。)テキストや過去問に登場する判例は、しっかり結論を押さえましょう。