ステイホームワーク第1回(解答)

労働基準法
●総則
問1 法1条にいう「労働条件」とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償等の基本的な労働条件を指し、安全衛生、寄宿舎に関する条件は含まれない。
答1 × 法1条にいう「労働条件」とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎に関する条件をすべて含む「職場における一切の待遇」をいう。(法1条、昭和63.3.14基発150号)
【コメント】
労働基準法の条文中、「労働条件」という言葉に一定の制限がかかるのは、法15条の「労働条件の明示(絶対的明示事項と相対的明示事項に限定されている。)」のみです。

問2 法3条が差別禁止事由として掲げている「信条」とは、政治的信条や思想上の信念を意味し、そこには宗教上の信仰は含まれない。
答2 × 法3条にいう「信条」とは、特定の宗教的若しくは政治的信念をいうため、宗教上の信仰も含まれる。(法3条、昭和22.9.13基発17号)
【コメント】
問題文にある法3条(均等待遇)「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない。」は、頻出事項です。「国籍、信条又は社会的身分」という限定列挙の部分(性別は含まれていない。)がポイントです。
また、「社会的身分」とは、生来の身分(部長とか課長などの職制上の身分ではなく、犯罪者の子とか被差別部落出身者などの生まれつきの身分)をいいます。

問3 法4条は、賃金についてのみ女性であることを理由とする男性との差別的取扱いを禁止したものであり、その他の労働条件についての差別的取扱いについては同条違反の問題は生じない。
答3 〇 なお、差別的取扱いをするとは、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含まれる。(法4条、平成9.9.25基発648号)
【コメント】
このことは、問2の解説にある法3条についても同様です。

問4 法6条は、「何人も、法律によって許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」としているが、その規制対象は、私人たる個人又は団体に限られ、公務員は規制対象とならない。
答4 × 法6条違反行為の主体は、「他人の就業に介入して利益を得る」第三者であって、「何人も」とは、本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。したがって、公務員であっても違反行為の主体となる。(法6条、昭和23.3.2基発381号)
【コメント】
条文の書き出しに「何人も(どんな人も)」とあるので、世の万人が対象となります。

問5 法7条は、労働者が労働時間中に、公民権を行使するために必要な時間を請求した場合には、使用者はこれを拒んではならないとし、また、当該時間を有給扱いとすることを求めている。
問5 × 公民権行使の時間を有給扱いとすることは求められていない。なお、問題文の前段は、そのとおりである。(法7条、昭和22.11.27基発399号)
【コメント】
労働基準法の問題は、「数字が論点」のものが少ないため、「結論が論点」になりやすい傾向があります。もし、知らない問題が出たら、「常識」で判断しましょう。

●労働基準法の適用
問6 労働者派遣における派遣労働者については、派遣元及び派遣先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、派遣元及び派遣先については、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用がある。
問6 × 派遣労働者に関しては、労働基準法は、原則として、当該派遣労働者と労働契約関係にある派遣元の事業について適用されるが、労働時間、休憩、休日等の労働者の具体的就業に関連する規定については、その枠組みの設定(労使協定の締結等)に係るもの等を除き、派遣先の事業についても適用される。(労働者派遣法44条)
【コメント】
「派遣労働者」は、労働基準法の規定ごとに「元、先、双方」で使用者責任を区分して分担ですね。関連事項として、「在籍出向者」は問題文のように労働契約関係が存する限度で「元、先」で使用者責任を区分して分担、「移籍出向者」はオール「先」です。

問7 労働基準法は、農林の事業や畜産又は水産の事業についても適用されるが、これらの事業に従事する労働者については、同法第4章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されない。
答7 × 林業については労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用を除外されていない。(法41条1号)
【コメント】
定番の引っ掛け問題ですね。「法41条該当者」については、選択式に良く登場するので、他のメンバーもしっかり押さえておきましょう。

問8 労働基準法は、家事使用人については適用しないこととされているが、個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に家事を行う者は、家事使用人に該当する。
答8 × 個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に家事を行う者は、家事使用人に該当しない。(法116条2項、昭和63.3.14基発150号)
【コメント】
いわゆる家政婦さんですね。雇用保険法の「被保険者となるかならないか」も同様ですが、とにかく問題文の中に「雇われて」という文言があれば、間違いなく労働者です。

問9 労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業については、適用しないこととされているが、同居の親族であっても、①常時親族以外の労働者を使用する事業において、一般事務又は現場作業等に従事していること、②業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること、③就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること、のすべての要件を満たす場合には、労働者として取り扱われる。
答9 〇 (法116条2項、昭和54.4.2基発153号)
【コメント】
同居の親族が労働者として取り扱われることのポイントは、少なくとも他人が1人いて、その他人と同じような働きぶりであることですね。

問10 船員法の適用を受ける船員については、その労働の特殊性から、労働基準法は全面的に適用が除外されており、当該船員の労働条件の基準については、船員法の規定するところによるものとされている。
答10 × 船員法の適用を受ける船員については、労働基準法の総則(平均賃金に関する規定を除く。)及びこれに関する罰則規定等は適用がある。(法116条1項)
【コメント】
勝手解釈ですが、自分を包み込むもの(国(国家公務員)、家(家事使用人)、親(同居の親族のみ)は全部除外、足元にあるもの(地(地方公務員)、海(船員))は一部除外です。