ろんてんのど飴

本日から10回シリーズで各科目の「基本論点」を個数限定で掲載します。第1回は、労働基準法(100)です。

 

1.法1条(労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。)の「労働条件」とは、「職場における労働者の一切の待遇」をいう。(一定の項目に限定されているわけではない。)(テキストP7)

 

2. 労働基準法の基準を理由として労働条件を低下させることは、たとえ労使の合意があっても労働基準法違反である。(社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合を除く。)(テキストP7~8)

 

3.法3条(均等待遇)にいう「差別的取扱い禁止」事項は、「国籍、信条又は社会的身分」に限定されている。(性別、人種その他の事項については、その対象となっていない。)(テキストP9)

 

4.法4条(男女同一賃金の原則)は、労働者が単に女性であることを理由とする差別的取扱いを禁止している。(能力、経験等によって個人的差異が生じていても本条違反ではない。)(テキストP10)

 

5.使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について差別的取扱いをしてはならないが、この「差別的取扱い」には、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含まれる。(テキストP10)

 

6.法5条(強制労働の禁止)違反については、労働基準法上最も重い罰則(1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)が科せられる。(テキストP10~11)

 

7.中間搾取(業として他人の就業に介入して利益を得ること)は禁止されているが、法律に基づいて許される場合がある。(テキストP11)

 

8.法7条(公民権行使の保障)について、使用者側に「時刻変更権」はあるが、「拒否権」はない。(テキストP12)

 

9.労働審判員、裁判員については、法7条(公民権行使の保障)に規定する「公の職務」に該当する。(テキストP13)

 

10.予備自衛官の防衛招集・訓練招集、非常勤消防団員の職務(単に労務の提供を主たる目的とする職務=代わりの人が行っても差し支えない職務)については、法7条(公民権行使の保障)に規定する「公の職務」に該当しない。(テキストP13)

 

11.同居の親族のみを使用する事業には、労働基準法は適用されないが、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業には、労働基準法は適用される。(この場合、一定の要件を満たすことにより、同居の親族も労働者となり得る。)(テキストP14)

 

12.株式会社の「代表取締役」は労働者ではないが、「取締役」は労働者となることがある。(業務執行権をもたない、法人の取締役が、工場長や部長等といった役職を兼務し、賃金の支払を受けている場合などは、法9条に規定する労働者に該当することもある。)(テキストP15)

 

13.労働基準法にいう「使用者」とは、事業主(法人の場合は法人そのもの、個人事業では事業主個人)に限るものではない。(使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。)(テキストP16)

 

14.「休業手当」は賃金であるが、「休業補償」は賃金ではない。(テキストP18、49)

 

15.「退職手当、慶弔見舞金」は、原則として賃金ではないが、労働協約、就業規則、労働契約等によりあらかじめ支払条件が明確なものについては、(臨時の)賃金となる。(テキストP18)

 

16.平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、臨時に支払われた賃金や3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれないが、通勤手当や家族手当は含まれる。(テキストP21)

 

17.賃金締切日に平均賃金の算定事由が発生した場合であっても、「直前の賃金締切日」を平均賃金算定の起算日とする。(例えば、賃金締切日が月末で、4月30日が算定事由発生日であった場合、3月31日が平均賃金算定の起算日となる。)(テキストP19)

 

18.年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合は、賞与部分を含めた年俸額の12分の1を1か月の賃金として平均賃金を算定する。(「賞与」とは、支給額が予め確定されていないものをいうため。)(テキストP19・未記載)

 

19.解雇予告手当に係る平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「労働者に解雇の通告をした日」である。(「解雇を決定した日」ではない。)(テキストP22)

 

20.減給制裁における平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、「減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日」である。(「減給制裁事由発生日」や「減給制裁の決定をした日」ではない。)(テキストP22)

21.労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その全体を無効とするわけではない。(労働基準法で定める基準に達しない部分のみを無効とし、その部分については労働基準法で定める基準による。)(テキストP24)

 

22.契約期間の上限が5年とされるのは、「専門的知識等を有する労働者」と「満60歳以上の労働者」とされているが、「専門的知識等を有する労働者」については、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限られる。(テキストP25)

 

23.法附則137条(1年経過後の任意退職の特例)の規定は、労働契約の期間の上限を5年とすることができる労働者(満60歳以上の労働者及び専門的知識等を有する労働者)には、適用されない。(テキストP25)

 

24.労働条件の明示事項である「労働契約の期間に関する事項」については、期間の定めのない労働契約の場合であってもその旨(期間の定め無し)を明示しなければならない。(テキストP29)

 

25.在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう。)を行わせる場合は、「就業の場所」として、労働者の自宅を明示する必要がある。(テキストP29)

 

26.労働条件の明示において、「退職に関する事項」は絶対的明示事項であるが、「退職手当に関する事項」は、相対的明示事項である。(テキストP29)

 

27.①労働契約の期間、②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項、③就業の場所及び従事すべき業務、④所定労働時間を超える労働の有無については、労働条件の絶対的明示事項であるが、就業規則の絶対的必要記載事項ではない。(テキストP29、123)

 

28.就業規則を交付することによって、法15条1項の「労働条件の書面交付」に代えることができる。(ただし、就業規則の絶対的必要記載事項に含まれていない一定事項(前記24)については、別途書面交付を行う必要がある。)(テキストP30)

 

29.労働契約の不履行についての違約金の定め、又は損害賠償額を予定する契約を禁止する法16条の規定は、当該契約の相手方を労働者本人に限っていないために、使用者が労働者の親権者又は身元保証人と違約金又は損害賠償額を予定する契約を締結することも禁止されている。(テキストP30~31)

 

30.「故意又は重大な過失により会社に損害を与えた場合、損害賠償を請求することがある」旨の契約を締結することは、法16条(賠償予定の禁止)には抵触しない。(テキストP30~31)

 

31.法17条(前借金相殺の禁止)は、前借金そのものを禁止しているわけではなく、「(労働することを条件とする)前借金と賃金を使用者が(一方的に)相殺すること」を禁止している。(テキストP31)

 

32.労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をすることは例外なく禁止されているが、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理することは、一定の要件(労使協定締結・届出及び貯蓄金管理規程作成・周知)の下で認められている。(テキストP32)

 

33.解雇制限期間(業務上傷病休業期間及びその後30日間並びに産前産後休業期間及びその後30日間)中は、たとえ労働者の責めに帰すべき事由と判断される場合であっても解雇することができない。(テキストP34~35)

 

34.業務上傷病により療養中であっても休業していなければ解雇制限の規定は適用されない。(テキストP34~35)

 

35.産前6週間以内の期間中であっても、産前休業を取らずに就業している場合は、解雇制限の規定は適用されない。(テキストP34~35)

 

36.解雇予告期間中に解雇制限期間が発生した場合、解雇予告期間の満了によって解雇の効力は発生しない。この場合、解雇の効力が停止され、解雇制限期間の終了とともに解雇の効力が発生する。(ただし、解雇制限期間が長期にわたり、解雇予告としての効力が失われたと認められる場合は、あらためて解雇予告をする必要がある。)(テキストP37)

 

37.解雇制限期間中に解雇の予告をすることはできる。(テキストP36・未記載)

 

38.解雇予告期間に係る「30日」については、解雇予告日と解雇効力発生日と間に「暦日(午前0時~午後12時)」で30日の期間を要する。例えば10月31日に解雇する(その日の終了をもって解雇の効力を発生させる)ためには、遅くとも10月1日には、解雇の予告をしなければならない。(テキストP36~37)

 

39.解雇予告手当は、賃金ではない。(ただし、その支払については、法24条(賃金の支払)に準じて通貨で直接支払うべきであるとされている。)(テキストP37・一部未記載)

 

40.即時解雇の意思表示をした後に解雇予告除外認定を得た場合は、その解雇の効力は「使用者が即時解雇の意思表示をした日」に発生すると解されている。(「解雇予告除外認定を受けた日」ではない。)(テキストP36~37・未記載)

 

41.「退職時証明書」及び「解雇理由証明書」には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。(たとえば、「解雇の事実」についてのみ請求があった場合に、「解雇の理由」まで記載することは許されない。(テキストP39)

 

42.法22条4項(就業妨害)における「労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信」は、制限列挙であって、例示ではない。(これに対して、退職時証明書及び解雇理由証明書に「秘密の記号」を記入することは、いかなる事項についても禁止されている。)(テキストP41)

 

43.通貨払の例外に「労働協約に別段の定めがある場合」があり、全額払の例外に「労使協定がある場合」がある。(テキストP44~45)

 

44.割増賃金計算において、1か月(1日ではない。)における時間外労働、深夜業の時間数の合計数並びに休日労働の時間数の合計数に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切捨て、それ以上を1時間に切り上げることは法24条(賃金の全額払)違反、法37条(割増賃金)違反とならない。(テキストP46)

 

45.法25条(賃金の非常時払)の規定に基づき使用者が支払わなければならない賃金は、「既往の労働」に対する部分であり、未だ労務の提供のない部分についてまで支払う必要はない。(テキストP47)

 

46.労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務はない。(テキストP48~49)

 

47.1日の所定労働時間の一部のみについて使用者の責に帰すべき事由による休業が行われた場合は、労働した時間に応じて支払われた賃金が平均賃金の100分の60に達しないときはその差額を休業手当として支払わなければならない。(テキストP49)

 

48.出来高払制の保障給は、労働時間(労働日数ではない。)に応じた一定額のものでなければならない。(テキストP50)

 

49.労働基準法の「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。(労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。)(テキストP53)

 

50.一継続勤務が、たとえ2暦日にまたがったとしても始業時刻の属する日の労働として当該1日の労働となる。(テキストP52)

 

51.「休憩時間中の来客当番」、「訪問介護労働者の利用者宅相互間の移動時間」、「運送業における運転手の手待ち時間」、「出張の際の旅行時間」については、その時間について労働者の自由利用が保障されていない場合には、労働時間となる。(テキストP52~53・一部未記載)

 

52.1か月単位の変形労働時間制の変形期間における所定労働時間の総枠は、「その事業場の週法定労働時間×変形期間の暦日数(所定労働日数ではない。)÷7」の計算式によって求める。(テキストP56)

 

53.変形期間を平均し、週40時間の範囲内であっても使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度は、1か月単位の変形労働時間制に該当しない。(1年単位の変形労働時間制についても同様である。)(テキストP55・一部未記載)

 

54.フレックスタイム制における労使協定において、コアタイムを設けること及びフレキシブルタイムに制限を設けることは、必ずしも必要とされていない。(テキストP57)

 

55.清算期間が1箇月超の場合に限り、フレックスタイム制に係る労使協定の届出を要する。(テキストP58)

 

56.フレックスタイム制に係る清算期間が1か月超の場合、清算期間内の1か月ごとに1週平均50時間を超えた労働時間については、時間外労働に該当する。(この場合、36協定の締結及び届出を要し、清算期間の途中であっても、当該各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければならない。)(テキストP58・一部未記載)

 

57.フレックスタイム制において36協定を締結するときは、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、1か月及び1年について延長することができる時間を協定すれば足りる。(テキストP57)

 

58.1年単位の変形労働時間制は、対象期間中在職し続ける労働者のみならず、途中入社、途中退職の労働者も対象とすることができる。(ただし、労働させた期間の1週間の平均の労働時間が40時間を超えている場合には、その超えた時間について、割増賃金を支払わなければならない。)(テキストP61)

 

59.1週間単位の非定型的変形労働時間制は少なくともその1週間の開始する前に1週間の各日の労働時間を書面により通知しなければならないが、緊急でやむを得ない場合は、労働時間を変更しようとする前日までに書面で労働者に通知することによりあらかじめ通知した労働時間を変更することができる。(テキストP62)

 

60.労働時間が6時間のときには休憩時間を与える必要はなく、労働時間が8時間のときは45分の休憩を与えればよい。また、労働時間が8時間を超える場合、その超える時間が何時間であっても1時間の休憩を与えれば適法である。(テキストP63)

 

61.休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは、事業場内において、自由に休息し得る場合には、必ずしも違反にならない。(休憩時間とは、労働者が権利として「労働から離れることを保障されている時間」をいい、全くの自由が保障されている休日とはその意義が異なる。)(テキストP64)

 

62.休日は暦日単位(午前0時から午後12時まで)で与えることを原則とするが、一定の要件を満たす8時間3交替制勤務においては、継続24時間でもよい。(テキストP65)

 

63.変形休日制においては、特定の4週間に4日の休日があればよく、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならないというものではない。(テキストP66)

 

64.派遣先の使用者は、法33条1項(災害臨時)の場合において、派遣中の労働者に法定時間外又は法定休日に労働させることができるが、この場合、事前に行政官庁の許可を受け、又はその暇がない場合に事後に遅滞なく届出をする義務は、「派遣先」の使用者である。(テキストP68)

 

65.労働組合がない事業場において、36協定を締結する場合、労働者の過半数を代表する者を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、法41条2号に規定するいわゆる管理監督者も含まれる。(なお、法41条2号に規定するいわゆる管理監督者は、労働者の過半数代表にはなれない。他の労使協定も同様。)(テキストP69・一部未記載)

 

66.36協定で延長時間を定めるに当っては、①1日の延長時間、②1か月の延長時間、③1年間のそれぞれについて延長時間を定める必要がある。(テキストP69)

 

67.労働時間の延長時間が1日2時間以内に制限されているのは、「坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務」であり、「危険な業務」については対象になっていない。(また、「深夜業を含む業務」は、前記の健康上特に有害な業務に含まれていない。)(テキストP72・一部未記載)

 

68.新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、時間外労働の限度、特別条項に関する規定(坑内労働その他健康上特に有害な業務に関する規定を除く。)は適用されない。(テキストP74)

 

69.休日労働に対し3割5分以上の割増賃金を支払わなければならないのは、法35条の休日(法定休日)のみである。(テキストP76)

 

70.時間外労働が引き続き翌日の法定休日に及んだ場合は、法定休日の午前0時以後は休日労働に対する割増賃金を支払わなければならない。(テキストP77)

 

71.家族数や距離に関係なく一律に支払われる賃金は、名称が家族手当、通勤手当であってもその部分は割増賃金の基礎に算入される。(テキストP79)

 

72.坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め(除きではない。)労働時間とみなす。(なお、この場合、休憩の一斉付与及び自由利用の規定は適用されない。)(テキストP80)

 

73.在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう。)については、一定の要件を満たしていれば、事業場外労働のみなし労働時間制を適用し得る。(テキストP81・未記載)

 

74.みなし労働時間制が適用される場合であっても、休憩、休日及び深夜業についての適用は排除されないから、使用者は休憩、休日、深夜業の管理を行わなければならない。また、休日労働、深夜業に係る割増賃金を支払う必要がある。(テキストP81)

 

75.企画業務型裁量労働制の導入要件は、「労使委員会の決議・届出」であり、専門業務型裁量労働制の導入要件は、「労使協定の締結」である。(テキストP82、84)

 

76.いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象労働者については、労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は適用されない。(法41条該当者については、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されない。)(テキストP88~89、87)

 

77.いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象労働者に係る「健康管理時間」とは、「事業場内にいた時間」と「事業場外において労働した時間」の合計をいうが、労使委員会の決議で「事業場内にいた時間」については、労働時間以外の時間(休憩時間等)を除くこともできる。(テキストP90)

 

78.年次有給休暇で「継続勤務」とは、在籍期間をいう。必ずしも継続出勤を要しない。労働組合の専従者期間、休職期間、長期病欠期間でも継続勤務期間となる。(テキストP95)

 

79.年次有給休暇をどのような目的で利用するかは、労働者の自由である。(ただし、一斉休暇闘争(職場の労働者全員で年次有給休暇を取得し、仕事を放棄するストライキの一種)は、年次有給休暇に名を借りた同盟罷業に他ならず、年次有給休暇権の行使ではない。)(テキストP95)

 

80.斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)や分割付与(初年度において、法定の年次有給休暇の付与日数を一括して与えるのではなくて、その日数の一部を法定の基準日以前に付与することをいう。)により法定の基準日以前に付与する場合の「8割出勤」の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなす。(短縮された期間を除いて出勤率を算定するわけではない。)(テキストP95・一部未記載)

 

81.育児休業申出前に、育児休業期間中の日について、時季指定や計画的付与が行われた場合は、その日は年次有給休暇が取得された日と解する。また、育児休業申出後においては、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求することはできない。(年次有給休暇は労働義務がある日について取得することができるため)(テキストP100)

 

82.年次有給休暇の権利は、基準日(6か月経過日、1年6か月経過日等)に発生するので、基準日において予定されている所定労働日数等に応じた日数の年次有給休暇が付与されなければならない。(テキストP98)

 

83.年次有給休暇の「計画的付与」の場合には、労働者の時季指定権、使用者の時季変更権はともに行使できない。(テキストP101)

 

84.「半日単位の年次有給休暇」については、使用者に付与義務はないが、労働者から請求があった場合に与えることは差し支えない。(労使協定も不要)(テキストP103)

 

85.「時間単位の年次有給休暇」についても、使用者の時季変更権の対象となるが、計画的付与として時間単位の年次有給休暇を与えることは認められない。(テキストP100)

 

86.年次有給休暇の日又は時間について支払うべき賃金については、①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる賃金、③標準報酬月額の30分の1に相当する金額(労使協定必要)のいずれの方法によるかを就業規則等に定めておかなければならない。(その都度任意に選択できるわけではない。)(テキストP97)

 

87.年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないと規定されているが、この規定違反に対して罰則規定は設けられていない。(テキストP104)

 

88.児童を就学時間のない日(通常日曜日)に労働させることは、別の就学日に法35条(法定休日)の休日を与えていれば差し支えない。(修学日以外の日に休日を与えなくともよい。)(テキストP109・未記載)

 

89.交替制によって労働させる事業については、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けることにより、年少者を午後10時30分まで(又は午前5時30分から)労働させることができるが、交替制によって使用する満16歳以上の男性を深夜業に従事させる場合は、行政官庁の許可を要しない。(テキストP110~111)

 

90.使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならないが、この規定は、妊娠中の女性であって管理監督者に該当する者にも適用される。(テキストP115~116)

 

91.妊産婦のうち、法41条該当者については、労働時間に関する規定が適用されないため、請求があった場合であっても「変形労働時間制の制限」及び「時間外・休日労働の禁止」の規定は適用の余地はないが、「深夜業の禁止」の規定は適用される。(テキストP117)

 

92.勤務時間の始め、又は終わりに「育児時間」を請求してきた場合であっても、使用者は拒否することができない。(テキストP118)

 

93.「生理日の休暇」の請求は、就業が著しく困難である事実に基づき行われるものであることから、必ずしも暦日単位で行わなければならないものではない。(半日又は時間単位で請求した場合には、使用者はその範囲で就業させなければ足りる。)(テキストP118)

 

94.使用者は、就業規則の作成又は変更について、過半数労働組合等の意見を聴かなければならないが、「意見を聴く」とは、労働者の団体的意見を求めるという意味であり、同意を得るとか協議を行うことまでは要求されていない。(テキストP123~124)

 

95.所轄労働基準監督署長の許可を受けて、監視又は断続的労働に従事している者であっても、就業規則に始業及び終業の時刻を定めなければならない。(テキストP123・未記載)

 

96.「減給の制裁」において、1日に3回の違反行為があった場合は、1回の減給額が平均賃金の1日分の半額以内であればよく、3回分の減給額の合計が平均賃金の1日分の半額を超えても差し支えない。(テキストP124~125)

 

97.寄宿舎規則(建設物及び設備の管理に関する事項を除く。)の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。(就業規則の作成又は変更については、その事業場の過半数労働組合等の意見を聴かなければならない。)(テキストP128)

 

98.労働基準法及びこれに基づく命令については、使用者に「要旨」のみ労働者への周知義務が課せられているが、就業規則、労使協定及び労使委員会の決議については、その「全文」を労働者に周知させなければならない。(テキストP131)

 

99.「付加金」の対象となるのは、①解雇予告手当、②休業手当、③割増賃金、④年次有給休暇の賃金であり、それ以外の未払賃金は含まれていない。(テキストP134)

 

100.賃金(退職手当を除く。)の請求権は5年間(当分の間、3年間)、退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。(なお、災害補償、年次有給休暇、退職時証明書、帰郷旅費等の請求権は2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。)(テキストP134・改正事項)