ろんてんのど飴(その9)

第9回は、労働一般(30)です。(毎年出題される「労働契約法」と「社会保険労務士法」に絞って作成しています。)

 

【労働契約法】

1.労働契約法上の「労働者」の定義は、労働基準法9条の「労働者」の判断と同様の考え方であるが、労働基準法と異なり、「家事使用人」は適用除外とされていない。(テキストP542543

 

2.労働契約法上の「使用者」とは、個人企業の場合はその企業主個人を、会社その他の法人組織の場合は法人そのものをいう。(労働基準法10条の「事業主」に相当するものであり、同条の「使用者」より「狭い」概念である。)(テキストP543

 

3.労働契約法4条1項において、「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」と規定されているが、同項は、労働契約の締結前において使用者が提示していた労働条件について説明等をする場面や、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものとされている。(労働基準法15条1項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より「広い」ものである。)(テキストP543・一部未記載)

 

4.労働契約4条2項において、「労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。」と規定されているが、同項は、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものとされている。(労働基準法15条1項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より「広い」ものである。)(テキストP543・一部未記載)

 

5.労働契約法5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定されているが、これは、使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の「附随的義務」として当然に「安全配慮義務」を負うことを規定したものである。(また、「生命、身体等の安全」には、「心身の健康」も含まれるものであるとされている。)(テキストP543544

 

6.労働契約法6条において、「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。」と規定されているが、労働契約の成立の要件としては、契約内容について書面を交付することまでは求められていない。(また、労働契約の成立の要件としては、労働条件を詳細に定めていなかった場合であっても、労働契約そのものは成立し得るものとされている。)(テキストP544・一部未記載)

 

7.労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が「合理的な労働条件」が定められている就業規則を労働者に「周知」させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によることとされている。(ただし、労働契約において、就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分(就業規則で定める基準に達しない部分を除く。)については、その個別の合意の内容が優先される。)(テキストP545

 

8.労働契約8条において、「労働者及び使用者は、その「合意」により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」と規定されており、労働契約の変更の要件としては、変更内容について書面を交付することまでは求められていない。(テキストP546・一部未記載)

 

9.使用者は、原則として、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできないが、「変更後の就業規則を労働者に「周知」させ、かつ、就業規則の変更が「合理的なもの」であるとき」は、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することができる。(テキストP546

 

10.就業規則で定める基準に達しない(基準と異なる、ではない。)労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。(テキストP547

 

11.就業規則で定める労働条件が労働協約に反している(労働協約の基準に達しない、ではない。)場合には、その労働条件は労働契約の内容とはならない。(テキストP547

 

12.一般的に「在籍型出向」については、労働協約又は就業規則に出向規定がある場合や、採用の際に出向もあり得ることを説明して承諾を得ている場合には、事前の「包括的な同意」があるものとして、これを根拠に業務上の必要に応じて出向を命ずることができる。(出向命令にあたって、必ずしも当該労働者の「個別の同意」を得ることまでは求められていない。)(テキストP548

 

13.労働契約法17条において、「使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されているが、「やむを得ない事由がある」と認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である」と認められる場合よりも「狭い」と解されている。(テキストP548549

 

14.労働契約法17条2項において、「使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。」と規定されているが、「その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間」に該当するか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであり、契約期間を「特定の長さ以上の期間」とすることまでを求めているものではない。(テキストP549・一部未記載)

 

15.同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が「5年」を超える労働者が、使用者に対し、「無期労働契約への転換の申込み」をしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。(この場合、無期労働契約の内容は、別段の定めがない限り、従前の有期労働契約(契約期間を除く。)と同一の労働条件となる。)(テキストP549

 

【社会保険労務士法】

1.社会保険労務士(特定社会保険労務士ではない。)は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、「補佐人」として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、「陳述」をすることができる。(テキストP644

 

2.懲戒処分により社会保険労務士の「失格処分」を受けた者で、その処分を受けた日から3年(5年ではない。)を経過しないものは、社会保険労務士となる資格を有しない。(テキストP644

 

3.社会保険労務士の欠格事由である「その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しないもの」の対象とされるのは、社会保険労務士法又は労働社会保険諸法令の規定による場合は「罰金以上の刑」、それ以外の法令の規定による場合は「禁錮以上の刑」に処せられた者である。(テキストP644

 

4.「社会保険労務士名簿」は、全国社会保険労務士会連合会(社会保険労務士会ではない。)に備える。(なお、社会保険労務士名簿に登録を受けようとする者は、登録申請書を、「社会保険労務士会を経由」して、全国社会保険労務士会連合会に提出しなければならないこととされている。)(テキストP645・一部未記載)

 

5.「資格審査会」は、全国社会保険労務士会連合会に置かれ、連合会の請求により、「登録の拒否」及び「登録の取消」について必要な審査を行う。(なお、「資格審査会」は、連合会の会長及び委員「6名」をもって組織する。)(テキストP645・一部未記載)

 

6.全国社会保険労務士会連合会(厚生労働大臣ではない。)は、社会保険労務士の登録を受けた者が、2年以上(3年以上ではない。)継続して所在が不明であるときは、資格審査会の議決に基づき、当該登録を取り消すことができる。(テキストP646

 

7.不正行為等の指示等の禁止の規定に違反した者は、「3年以下の懲役又は200万円以下の罰金」という社会保険労務士法で最も重い罰則が科せられる。(テキストP651

 

8.社会保険労務士は、社会保険労務士の「信用又は品位」を害するような行為をしてはならないこととされているが、この「信用失墜行為の禁止」規定に対する罰則は定められていない。(テキストP647

 

9.開業社会保険労務士はその業務を行うための事務所を2以上設けてはならない。ただし、特に必要がある場合において、厚生労働大臣(全国社会保険労務士会連合会でない。)の許可を受けたときは、この限りでない。(テキストP648

 

10.開業社会保険労務士は、その業務に関する帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖のときから2年間(3年間ではない。)保存しなければならない。(開業社会保険労務士でなくなったときも、同様である。)(テキストP648

 

11.開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼を拒んではならないが、「紛争解決手続代理業務」に関するものは、この場合の「依頼」から除かれている。(なお、「紛争解決手続代理業務」は、特定社会保険労務士に限り、行うことができる。)(テキストP648643

 

12.社会保険労務士に対する「懲戒処分」は、①戒告、②1年以内の業務の停止、③失格処分の3種類である。(テキストP650

 

13.社会保険労務士が「不正行為の指示等」を「故意に」行った場合は「1年以内の業務停止」又は「失格処分」の対象となるが、「相当の注意を怠り」行った場合は「戒告」又は「1年以内の業務停止」の対象となる。(テキストP650

 

14.社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならない。(テキストP651

 

15.社会保険労務士法人の解散及び清算は、裁判所(厚生労働大臣ではない。)の管轄に属する。(テキストP652