「判例道場」第13回

【第12回解答】

労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等を抑制し、もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに、労働者への補償を行おうとする趣旨によるものである。

〔選択肢〕

① 啓発 ② 補償 ③ 利益供与 ④ 損害賠償

〔解説〕

  • 科目「労働基準法」:難易度「平易」
  • 解答根拠

最判平成29.7.7「康心会事件」

  • 事案概要

Xは、医療法人Yとの間で雇用契約を締結していたが、看護師への不適切な指導等を理由として解雇されたため、その不服とともに、未払の割増賃金等の支払を求めて訴えた時間

  • 論点

割増賃金を基本給に組み入れることは有効か

  • 結論

(労働契約における基本給等の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができるのであれば)有効

【第13回問題】

年次有給休暇に関する労働基準法39条1項ないし3項の規定については、労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な始期と終期を特定して右の時季指定をしたときは、客観的に同条5項ただし書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしないかぎり、右の指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における D が消滅するものと解するのが相当である。すなわち、これを端的にいえば、休暇の時季指定の効果は、 E として発生するのであって、年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」の観念を容れる余地はないものといわなければならない。

〔選択肢〕

D ① 就労義務 ② 使用者の時季指定権 ③ 賃金請求権 ④ 労働契約上の義務

E ① 使用者による時季変更権の不行使を解除条件 ② 使用者による時季変更権の不行使を停止条件 ③ 労働者の適法な時季指定権の行使を必須条件 ④ 使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件

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