「判例道場」第5回

【第4回解答】

労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。〔…中略…〕したがって、不活動仮眠時間であっても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるというべきである。

〔選択肢〕

D ① 使用者の指揮命令下に置かれて ② 労働契約の内容に従い労働して ③ 使用者の支配下に置かれて ④ 使用者の指示に従い労働して

E ① 睡眠時間 ② 自由利用 ③ 労働からの解放 ④ 賃金の支払

 

〔解説〕

  • 科目「労働基準法」:難易度「平易」
  • 解答根拠

最判平成14.2.28「大星ビル管理事件」

  • 事案概要

ビル管理会社Aの労働者でビル設備の運転操作、監視、ビル内巡回監視等の業務に従事していたXらについて、仮眠時間を労働時間として扱わなかったため、Xらが会社Aに対し、常に緊張感のある仮眠時間は現実に作業を行ったかどうかにかかわらず、すべて労働時間であるとして、賃金の支払を求めて訴えた事案

  • 論点

実作業に従事していない仮眠時間は、労働時間か

  • 結論

使用者の指揮命令下にあれば労働時間(労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。〔…中略…〕したがって、不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるというべきである)

 

【第5回問題】

賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、適正な賃金を支払うための手段たる相殺は、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の A との関係上不当と認められないものであれば、労働基準法第24条第1項の禁止するところではないと解するのが相当である。

〔選択肢〕

① 経済生活の安定 ② 最低賃金の保障 ③ 生活保障 ④ 不利益の補償

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