社会保険労務士試験「プチ講座」

 みなさん、こんにちは。本日は、「健康保険法」の試験対策についてお話ししたいと思います。
 「健康保険法」は、選択式5点、択一式10点のフル科目です。しっかり学習して高得点を狙いたい科目ですが、現実は「なかなか点数が伸びない科目」となっています。
 その主な理由は3つあります。いずれも「他の保険法にはない特徴」があることによります。
 1つ目は、保険者が2種類(全国健康保険協会と健康保険組合)あり、共に民間の組織であるため、それぞれについて(無味乾燥な)細かい規定が置かれていることです。加えて、互いの違い(比較論点)も多数存在し、この部分が「選択式」に狙われる一部であるため、記憶することに多大なエネルギーを費やすことになります。
 今年度の「択一式」の問題から例を挙げてみましょう。
・「健康保険組合の細則」からの問題例(問7・ア)
 健康保険組合の設立の認可に係る厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任されている。
(答)誤り。
 設問の権限は、地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任されていない。健康保険組合の合併、分割、解散に係る厚生労働大臣の権限についても同様である。(法205条、則159条)
 いかがだったでしょうか。形式は、単純な「YES・NO」問題ですが、覚えていなければ(いくら考えても)解けない問題です。
 2つ目は、「被扶養者」という制度があることです。その対象者となる要件を覚えて行くことも一苦労ですが、同じ目的の保険給付であっても「被保険者」に対するものと「被扶養者」に対するものでは、名称(場合によっては給付の中身)が異なり、また、被扶養者独自の規定もあって、そのことが記憶の混乱を招くことになります。
 今年度の「択一式」の問題から例を挙げてみましょう。
・「被扶養者独自の規定」からの問題例(問5・C)
 健康保険法施行規則においては、保険者は3年ごとに一定の期日を定め、被扶養者に係る確認をすることができることを規定している。
(答)誤り。
 「3年ごとに」ではなく、「毎年」である。(則50条1項)
 いかがだったでしょうか。この規定は、一般的なテキストでは隅の隅に記載されている(或いは記載されていない)ものです。
 3つ目は、「行政解釈」が多く存在することです。この法律は、大正11年に制定されましたが、未だに昭和一桁の「行政解釈」も生きており、こういった古典的なものまで網羅して行かなければならないため、テキスト1ページの学習に思いのほか時間を取られることになります。
 今年度の「択一式」の問題から例を挙げてみましょう。
・「古典的な行政解釈」からの問題例(問1・A)
 適用事業所に臨時に使用され、日々雇い入れられている者が、連続して1か月間労務に服し、なお引き続き労務に服したときは一般の被保険者の資格を取得する。この場合、当該事業所の公休日は、労務に服したものとみなされず、当該期間の計算から除かれる。
(答)誤り。
 設問の場合、当該事業所の公休日は、労務に服したものとみなし、当該期間の計算に加えることとされている。(法3条1項2号イ、昭和3.3.30保理302号)
 いかがだったでしょうか。昭和3年の行政解釈からの出題ですが、前問と同じく、一般的なテキストでは隅の隅に記載されている(或いは記載されていない)ものです。
 なお、上記の3問は、健康保険法の中では、特に「難問・奇問」扱いされるものではありません。(ごく普通に出題される類のものです。)
 前置きが長くなりました。それでは、「健康保険法」の試験対策は?
 「択一式」については、獲得点数を6点に設定し、1つは、「徹底的に過去問を潰す」ことです。ちなみに、今回の試験問題(350肢)のうち、実に72%が過去問ベースの問題でした。(例年も同様です。)もう1つは、「改正事項を確実に押さえる」ことです。(来年の4月から標準報酬月額の等級区分が50等級に改定されるなど幾つかの大きな改正があります。)
 「選択式」については、獲得点数を3点に設定し、「保険者と保険料率に関する規定を徹底的にマークする」ことです。この辺りに合否を分ける「選択式」特有の論点が多数存在します。
 次回は、「国民年金法」の試験対策についてお話ししたいと思います。

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